81話・冷めた目線
「なるほど...そういう理由でですか...」
アミューが説明を終えると、ルビが蒼井の事をジィィッと見てくる。
うわっ!ルビさんの、あの氷より冷たそうな表情っ!?
アミューはルビさんに、一体どういう説明をしたんだ...
まさか、屋台のお姉さんとのキスの話をしたんじゃっ!?
「ね、ねぇ...アミュー、ひょっとしてさ...ルビさんに屋台のお姉さんの
キスの話はしてませんよ...ね?」
僕は困惑な表情でアミューへ、ソッとその事を訊ねた。
「え...?勿論したけど?」
「ちょっと!それは違うって、さっき言ったよねっ!」
わざとなのか...あのアミューの素っ惚けた顔はわざとなのかっ!?
「あれ...?そうだったっけ...はは...ゴメン、ゴメン!こっちの印象が
強かったから...つい、こっちが本当の目的かと!」
アミューが舌をペロッと出して誤魔化す。
「ったくもう...」
...と、言いつつ...お姉さんのキスが目的なのは、全くもってその通り
なんですけどね...
でもね、アミューさん...屋台のお姉さんの状況が本気で心配っていうのも、
本当なんだよ...嘘じゃないよっ!!
僕は真実を隠すかの如く、心の中で言いワケ苦しい言葉を並べる。
「コホン...そういうわけなのでルビさん、すいませんがこのクエストの
受理をしてもらっていいですか...?」
蒼井は咳払いをして空気感を変えると、クエスト依頼書をアミューから
受け取り、ルビへ手渡した。
「あ...はい、わかりました。それでは、クエスト依頼の申請受理をして
きますので、しばらくお待ち下さいね」
ルビがニコリと微笑みを見せながらシュンに一礼すると、再び奥の部屋へと
移動して行く。
「あ...そうそう忘れていた。これ...さっきのクエストの報酬だよ、ほら!」
アミューがポーチから取り出した大銀貨2枚を、蒼井に手渡した。
「お...サンキュー♪それじゃ...これがアミューの分ね...」
受け取った報酬の半分をアミューに手渡し返す。
「いいよ、いいよ、私は!だってシュン、その報酬でギフト判定を
するんでしょう?」
「そ、それはそうなんだけど...やっぱり、パーティで稼いだお金は、
パーティでわけるべきだと思うんだ」
それにゴブリン討伐は全部、アミューがやったしなぁ...。
「...わかったよ、シュン。そういう事なら、パーティの仲間として
ありがたく受け取っておくね♪」
アミューはそう言うと、受け取ったお金をポーチの中にしまう...。
――――――――――
「お待たしました、シュン様。依頼のクエスト申請、無事に受理しました!」
奥の部屋からルビさんが、ニコリと微笑みを見せながら出てきてた。
「ありがとうございます、ルビさん。それじゃ早速、屋台市場へ行こうか!」
僕は意気揚々とギルドの出入り口に足を向けると、爽やか笑顔を振り撒く。
「あのシュンの笑顔...やっぱり、キスが目的なんじゃ...?」
ま、仮にそうだったとしたら、全力で阻止するけどね!
「あのシュン様の笑顔は...やはりキスが狙いなんですか!?」
もしそうだとしたら、Sクラスの技を以て、絶対にシュン様のキスの
邪魔をしちゃいますからね!
「お、お兄ちゃん...何か、物凄く張り切っている...」
うう...もしも、そのお姉ちゃんとやらとキスをするつもりなら、
ボクがその間に割り込んで、代わりにチュッてしてやるんだから!
「ふふふ...」
「うふふ...」
「えへへ...」
蒼井の爽やか笑顔を見た、アミュー、ルビ、ココ、の三人が、
それぞれの思惑を抱きながら含み笑いを浮かべいる...。




