77話・唇の感触
それから、聞く耳持たずのアミューに必死に説明する事、数十分後......。
「な~んだ、そうだったのか♪初めてって言うから、本当に焦っちゃったよ!
ココちゃんの言う初めてって言うのは、キスを...っていう事だったんだね♪」
アミューがそれを聞いてホッとしたのか、安堵感に胸を撫で...
「...って、おろさないからねっ!!キスってどういう事よ!あんた、
ココちゃんとそ...その...きき...キッスはしたって事なのっ!?」
ホッとしようとした瞬間、あれ?キス??と、気づいたアミューが、
目を丸くして驚き、そして叫声を上げる。
「そ、それは...その...結果だけを言うなら、その通りなのですが...」
「だあ!やっぱり、キスしたんだ!?どこにっ!?どこにチューッて、
したのよ!」
アミューの問いへ蒼井が正直に答えると、キャーッと悲鳴が出そうな
表情でアミューが驚き、慌てふためいている。
「え...っと、ど、どこにって...言われましても......」
「それは決まっているじゃありませんか!口と口ですよ!キャッ!
恥ずかしいです~!もうお姉ちゃん、言わせないで下さい~!」
口ごもる蒼井の代わりに会話へ割って入ったココが、自分の唇と蒼井の唇へ
指を差して説明した瞬間、また恥ずかしくなったのか、再び顔を真っ赤に
染め上げてその顔を両手で覆って隠した。
「ナァァァ――――ッ!?くく、口と口でチューッ!?」
ココの容赦ない発言に、アミューは目を見開き震えるほど驚いてしまう。
「あ、あれはしょうがなかったんだってっ!?」
「しょうがないって、何が!どう!しょうがないのかしらっ!!」
「それは......」
迫る様に言葉を続けるアミューに、僕はあの時の緊急に行った色々な事を
全て正直に話す。
「そ、そっか...ココちゃん、その馬鹿な人間の為に死にかけたんだ...」
僕の懸命の説明でやっと、アミューが、ココの言う初めてが何だったのか
理解する。
「うん、そう言う事...。だから、あれは救助の為の行為だっただけで、
キスとしてはカウントしない......」
あ、でも冷静にあの時を思い出すと、ココの唇って柔らかかったなぁ...。
そっか、あれが口と口の感触なんだ...。
「んん...ちょっと、シュン!今、な~んか、とっても幸せそうな顔をしたよね...?
まさか、ココちゃんの唇の感触を思い出したんじゃないでしょうね...?」
「は、はうっ!?そ、そんな事、な、ないぞ...!?」
はう...!ア、アミューって、感が鋭いな...。
「そ、そうなんだ...ボクとのチュウを思い出して...お、お兄ちゃんっ!
ぼ、ボクなら、いつでもチュウッてしてもいいんだよっ!だって、ボクは
お兄ちゃんの従者なんだからっ!!」
ココが照れた表情で尻尾を小さく横に振りながらそう言うと、キャッキャッと
はしゃぎ、その場を跳ね回るのだった。




