76話・奪い奪われ
「それじゃ早速ですが、私の休暇願いとココちゃんを含めたパーティの
申請登録をしてきますので、しばらくお待ち下さいね♪」
ルビが蒼井にそう告げてペコッと頭を下げると、ご機嫌いっぱいの表情を
浮かべながら、大急ぎで奥の部屋へ駆けて行った。
「はぁ...結局、ルビさんもついてくるのか...。せっかく、シュンと二人きりで
イチャイチャできるチャンスだったのに...」
奥の部屋に入って行ったルビの方角にアミューが目線を向けると、蒼井との
二人きりの旅がオジャンになった事へ、ガッカリと言った溜め息が洩れる。
「あ、あの...お姉ちゃん、二人きりでイチャイチャって...一応、ボクもいるん
ですけど...?」
アミューの裾をちょんちょんと引っ張ったココが、上目遣いでアミューに
呟く様にそう述べる。
「え...ああ、そうだった、そうだった!ココちゃんもいたんだったね♪
でもなぁ...ココちゃんが、お姉ちゃんの恋のライバルになるには、
ちょ~っとばかり、早過ぎるかな~♪」
アミューが大人ぶりながら余裕の微笑みを浮かべると、ココの頭を優しく
撫でる。
「むむ...失礼です、アミューお姉ちゃん!ボクだってお兄ちゃんに好意は
持っていますっ!」
アミューのライバル除外発言に激昂したココは、その頬をプクゥッと膨れさせ、
尻尾もピンッと上に立てて、それに反論する。
「そ、それに...ぼ、ボクとお兄ちゃんは、初めてと初めてを奪い奪われちゃった
仲なんだから!」
「なっ!?」
「キャッ!言っちゃった!恥ずかしいですぅ~っ!」
自分のセリフに照れてしまったのか、ココは耳まで真っ赤にした顔を
恥ずかしそうに両手を覆って隠す。
「ブゥゥゥ―――――ッ!?ちょっと、ココ!?言い方、言い方っ!!」
ココさんそれ、はしょり過ぎだからぁぁ―――――っ!
そのはしょり方は、完璧に駄目なはしょり方だからぁぁぁ――――っ!!
「あわわ...はは、初めてって...ココちゃんとシュンの仲が、そこまで進んでた
なんて...!?」
アミューがココの初めて発言に、なわなわとその身を震わせて後退りしていく。
ほらぁっ!アミューのあの表情っ!絶対、思いっきりと勘違いしてる表情を
しているじゃんかぁっ!?
「ち、違うからね!アミューが何を勘違いしているのか、大体想像はつくけど...
アミューの思っている事と全然違うからね!ココとしたっていうのは、
初めてのキスだからねっ!?」
僕は慌てふためいて、手振り足振りでココの言っている「初めて」の内容を、
アミューへ詳しく説明する...。




