72話・私もついて行きますから!
門を抜けてカトンの町をしばらく歩く事、数十分...僕はギルドの前へ
辿り着く。
「ふう...やっと着いた」
しかしまだ数時間しか経っていないはずなのに、何かこのギルドの
風景がすごく懐かしいと感じてしまう......。
ココとの衝撃な出会い...そして魔族200人との戦い...。十代の僕には
かなり難関なイベントのオンパレードだったよな...はは。
このギルドを出てから、取り巻く様に起こった数々のイベント事が
頭の中へ次々と浮かんでくると、思わず口からニガ笑いがこぼれ落ちた。
「さて...しみじみと干渉に浸る年でもないし、そろそろ中に入りますか...」
ひと呼吸して気持ちを切り替えると、僕はアミュー達が待っている
ギルドの中へと移動して行く。
――――――――――
「ええぇぇっ!それはいくら何でも無茶ですって~!」
「何が無茶ですか!アミューさんが行くなら、私も行くに決まっている
でしょう!」
ギルドの出入り口に足を入れた瞬間、アミューとルビさんの言い合いの
叫声が僕の耳に響いてきた。
「だから~あ...シュン!丁度良いところに来てくれたわね!」
蒼井を発見したアミューが、慌てて蒼井の元へと駆けてくる。
「ど、どうしたんだい?何か、ルビさんが騒いでいるみたいだけど?」
「実はね...私とシュン、そしてココちゃんがこの町を離れる事をルビさんに
伝えたら、自分もついて行くって駄々をこね始めちゃってさ...」
「当然です!アミューさんもついて行くって言うのに、私がついて行っては
駄目と言う道理がありません!」
ルビは然も当たり前という顔をして、アミューの言葉へ異議を唱える。
「イヤ...普通について来ちゃ駄目だと思いますよ?」
「ええぇぇ!な、何故ですか!?」
蒼井から発された言葉に、ルビが今のも泣きそうな表情でショックを受ける。
「だって、いきなりルビさんがギルドをやめちゃったら、ここのギルマスが
困っちゃうんじゃないですか...?それに......」
僕はアミューに説明した事をルビさんにも伝える...。
「...と、言うわけなので、僕についてきてもロクな事にならないですよ?」
「ま、魔族ですかぁぁぁ―――っ!?シュン様は魔族と戦った事があるん
ですかっ!?」
蒼井が魔族と戦ったと聞いたルビが、目をパチクリとさせて驚いている。
「それにお兄ちゃん、この後、グリーン貴族と戦う予定なんですよ!」
「えええぇぇぇ―――っ!?あの4強貴族のひとつ、戦闘技術に特化した
戦闘軍隊と言われている貴族......グリーン貴族とこの後に戦うっ!?」
ココの発したグリーン貴族とこの後戦うという言葉に、ルビの目が
最大に見開き、そしてその表情は驚きを隠せないでいた...。




