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69話・ボクは従者です


「とにかく、グリーン貴族の本拠地に乗り込もうだなんて考えは、絶対に

やめてよね!」


アミューが潤んだ瞳をグッと抑え、蒼井に釘を刺してくる。


「で、でもさ、この間のアミューの言う事が正しいなら、何とかなると

思うんだけどなぁ...」


「この間、私が言った事...?」


蒼井の言葉を聞いて、何の事を言っているのか思い出せないアミューは、

ハテナ顔をして首を傾げている。


「ほら...魔族の話だよ、魔族の...。実は僕、さっき魔族の軍団200人と戦って

勝ってきたんだ。だから、きっと今回も何とかなるんじゃないかな...?」


「ええぇぇ―――ッ!?ま、魔族200人に勝ったですってえぇぇ―――ッ!?」


蒼井から告げられる信じれない事実に、アミューが目を見開き喫驚する。


「うん...アミューには内緒にしていたけど、さっき僕がいなかったのは、

魔族退治をしていた為だったんだよ...」



僕は更に信用性を深める為に、先程の魔族達との戦いをアミューに

話した...。



「う、嘘でしょう...それじゃ本当に、こんな短い時間の間に魔族を

200人も倒してきた言うの...!?」


アミューが唖然とした表情で、目をパチクリしながら蒼井を見ている...。


「だからさ、多分アミューが心配する様な事にはならないかな~って、

思うんだよ...はは!」


僕はアミューを安心させる様、屈託のない笑顔を浮かべてウインクをする。


「そ、そうだね...200もの魔族達に勝てたんなら、人族の軍隊くらいは、

わけないか...」


「そう言う事!わかってくれた所で、僕はそろそろ馬鹿者退治の為、

ゲットンの町へ行くね!」


アミュー達にビシッとサムズアップをすると、僕はゲットンの町がある

方角へと身体を向ける。


「ちょっと、待ってぇぇぇぇ――――ッ!!」


「え......って、うわ!こ、ココ!?――――うぷぅっ!?」


突如、聞こえてきた叫声のする方向へ身体を向けると、僕の懐へ目掛けて

ジャンピングしてくるココの姿があった。


そして、その勢いで抱きついてくると、僕を逃がさない様にギュッと強く

ココが抱きしめてくる。


「うう...またボクを置いていくなんてなしなんだからね!今度こそ、一緒に

連れて行ってもらうんだからっ!!」


ココがそう言うと、僕を逃がさないと言わんばかりに、更に強くぎゅっと

抱きしめてくる。


「い、イヤ...しかし、ココを危険な目に合わせる訳には...!」


「だって、お兄ちゃん...グリーン貴族を倒した後、ここに戻ってくる

つもりないんでしょう!?」


「え...そ、それは本当なの、シュン!?」


悲しそうな表情でそう語るココの姿を見たアミューが、嘘でしょうと

慌てて蒼井の方に顔を向ける。


「うん...。僕がここにいつまでもいると、カトンのみんなに迷惑が

かかっちゃうし...僕の目的は世界中を旅する事だしね...。だから、

この機会は丁度良いタイミングだったんだよ...」


「それじゃ、何でボクを置いていっちゃおうとするんですか!

ボクはお兄ちゃんの従者なんだよ!それなのに......」


ココは置いていかれるのが、寂しいのか、悔しいのか、どちらとも

わからない表情をしている。


「そ、それは...このカトンにいた方が安全だし...それにさ、ここには

アミューやルビさんだっている...だから」


「でも、お兄ちゃんはいない...。それじゃ駄目なんだよ!ボクは

お兄ちゃんの側にいたいんだ...たとえ、それが迷惑だとしても、

ボクはお兄ちゃんと一緒にいたいんだよぉぉ...ぐす...」


目をうるうるとさせて蒼井の顔をジッと見つめると、ココが

必死に自分の思いを嘆願してくる。


「ココ...」


「ね...いいでしょう、お兄ちゃん!ボクがついていっても...」


「......」


僕は静かにコクンッと首を縦に振ると、ココの前にそっと手を

差し伸べた...。


「お、お兄ちゃぁぁぁぁ―――――――んッ!!!」


「うぷっ!?」


僕の差し伸べた手をココがすり抜けて、懐へ体当たりするかの様に

ガバッと抱きつき、そしてさっきより力強く抱きしめてきた。


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