68話・メイーナに似てきた?
「え、ちょっと待って...?今、なんて言ったの、シュン...?もしかして、
ゲットンへ行って、グリーン貴族を潰すとか言わなかった...?」
「うん...そう言ったよ?」
僕の言葉を聞いたアミューが目を丸くし、信じられないといった表情で
こちらを見てきた。
「な、何を考えているのよ、シュン!グリーン貴族の本拠地なんだよ!
そんなの無理に決まっているじゃん!きっと、あそこには戦闘軍隊が
何百人もいるはずだよ!そこを乗り込んで潰しに行こうだなんて...
いくら勇者だとしても、そんなの自殺行為もいい所だよ!」
アミューが捲し立てる様に叫声を荒らげ、蒼井の事を窘める。
「何百人か...」
「そ、そうだよ!だから、そんな危険な場所に行こうだなんて、無茶は
やめて...」
アミューが蒼井の裾をちょんと引っ張って、瞳を潤わせて引き留めてくる。
「アミュー......」
この真剣な表情...本気で僕の事を心配してくれているんだ...。
「ボ、ボクだって...お兄ちゃんの事は心配ですよ...」
同じ様に瞳をうるうるさせて、トンっと蒼井の懐に顔を埋める。
「ココ...」
本当、僕は恵まれた場所にいるんだな...。
これがメイーナの言っていた色々な人が僕のいる場所へ回りに
巡りめぐって、集まってくるってやつなのかな?
そしてメイーナは、僕がその場所を守る為に奮起する事も
わかっていたのかな...?
はは...いいや、それは流石に良い方へ考えすぎか...。
「ね、だから...そんな死にに行くようなセリフは吐かないで...」
「そうですよ、お兄ちゃん...!」
未だに心配そうに僕の事を見つめてくる、アミューとココ...。
そうさ...グリーン貴族、人をあそこまで見下せる存在...。そして、
女や子どもを商売のアイテムとしか見ていなかった、あの下卑た目...。
あいつらを放って置いたら、魔族同様...絶対にロクな事にならないのは
目に見えてる...。
「だから...」
もし、グリーン貴族がこの世界で悪の存在だったら、今の内に潰しておく...
多くの犠牲が出る前に...。
そしてもし、グリーン貴族が放って置いてもいい存在だったら、そのまま
スルーだ...。
はは...でも、邪魔なら潰すって...何か、どんどん僕の考え方がメイーナに
似てきている気がする...。
イヤ...メイーナだったら、もっと簡単に...問答無用で殺るか...。
「あはは...」
僕は道徳心の欠片もない事を言っているなと思うと、この世界に
順応している自分におもわず、乾いた笑いが込み上げてくる。




