65話・勇者が裁く!
「なぁ...そこの門番の兵士さん達。あなた達は、何故こんな横暴な事を
言っている奴らを放って、そんな所でボーッとしているんだい...?」
「う...そ、それは......」
蒼井から窘めが余程、的を得た言葉だったのか...門番の兵士達の口が
にごる。
「しょうがないのよ、シュン...。グリーン貴族のダージリン一族って言えば、
戦闘集団な連中で、逆らう者にいっさいの容赦をしない事で有名なのよ」
アミューが口惜しそうな顔をして、グリーン貴族の事を語ってくる。
「なるほどね...それで、アミューやココが拉致られそうになっているのに
見捨てるクソ野郎と化しているか...」
「くう...言い返す言葉もない。だが、わかってくれ!俺に家族が、
子どもがいるんだ。どっちを優先するかは、言わずもわかるよな...」
まあ...確かに、この門番の兵士が言っている事も、また正しいんだよな...。
他人を助けたせいで、自分の知り合いや家族がひどい目に合うなんて...
本末転倒も良い所だし...。
「くくく...そう言う事だ。どうだクソガキ?これを聞いても、まだ俺達に
逆らうのか?」
「当然じゃん...だって、俺は......」
僕は貴族の言葉を否定すると、腰にぶら下げている銀の鎖にぶら下げている
『銀のブレスレット』...メイーナシリーズの転送スイッチを押した!
「キャアッ!な、何?この眩しい光は、目の前が真っ白になってる!?」
「ぐあああっ!き、貴様ぁぁ!?いきなり目潰し攻撃をしやがって...
このくそが!くそがぁぁっ!?」
目の前が真っ白になって焦っているのか、貴族がブンブンと持っている剣を
振り回している。
「目潰し?それは違う...この光はこうなる為の光さ!」
「な...なんだ!?その白銀の鎧は...!?」
白い光が消えると貴族達の目に、キラリと輝く白銀の鎧を身に纏った
蒼井の姿が映る...。
「シ、シュン...?その鎧の中にはシュンが入っているの!?...って言うか、
その鎧に刻まれている紋章はメイーナ様の紋章っ!?」
白銀に刻まれている、メイーナの紋章を見たアミューが目を見開いて
喫驚している。
「おい...そこの間抜けな貴族ども!貴様らがそのグリーン貴族とやらを
名乗るなら、こっちは女神メイーナの使い、勇者を名乗らせてもらうっ!!」
僕は貴族三人に人差し指をビシッと突きつけて、高らかにそう宣言する!
「メメメ、メイーナ様のゆゆ、勇者だとっ!?そんなバカなっ!?」
「「あわわわわっ!?」」
勇者と聞いた貴族達が目を大きく見開くと、慌てふためきながら
後退りして行く。
「しかし...あの紋章は間違いなくメイーナ様の紋章...!?だとすると、
このガキは、本当に勇者だと言うのかっ!?」
「あ、兄貴!?ど、どうしましょう...メイーナ様の使いを敵に回すのは、
かなりマズイっすよ!?」
「そうですぜ、兄貴...!い、いくらグリーン貴族でも、流石にメイーナ様や
勇者に逆らうのは、無理難題だと思いますぜ...!?」
「く...そ、そんなの関係ない!例え、そうだったとしても、このガキを
消せばどうとでもなるわぁっ!」
「え...馬鹿なのお前...?これだけの証人がいるのに、どうにもなるわけが
ないじゃん...」
僕はやれやれというポーズを取って、貴族達に注意を促す。
「あ、そうそう言っておくけど、もし証言を嘘偽った者は誰であろうと
容赦なくメイーナの裁きの雷が落ちるから、そのつもりでいてね!」
「め、メイーナ様の裁きの雷が...ゴクッ!」
「あ...これもつけ加えて言っておくけど、あの女神様...マジで慈悲なんて
ないからね...。例え、女や子ども...それに家族がいようとも、問答無用で
ズッドンなので...マジで嘘偽りは言わぬよう、よろしくね!」
僕が真剣な表情でこう語ると、その場にいる殆どの人達が心でこう思うの
だった...。
それって女神様じゃなく、破壊神じゃねぇかぁぁぁ――――っ!!
...と。




