61話・タメ口&呼び捨て
「と、所で勇者様にお聞きしたいのですが......ハッ!ご紹介が遅れましたっ!
自分はクランチ城で第8番隊長をやらせてもらっている『ロザリオ・アンダー』と
申します!以後、お見知りおきを!」
「あ...ご紹介どうも...。僕は蒼井瞬って名前だよ、よろしくロザリオさん!」
「私如きに、さん付けなんてとんでもない!どうか、呼び捨て、敬語なしで
お呼び下さいませっ!」
ロザリオが頭をビシッと下げ、蒼井がそう呼んでくれるようお願いしてくる。
「い、イヤ...流石に年上っぽい人を、タメ口や呼び捨てで話すのは、ちょっと
抵抗が...」
僕はニガ笑いを浮かべて、ロザリオさんのお願いをやんわりと断る。
「お―――――い!私、女神でかなり年上なのに、躊躇なくタメ口&呼び捨てで
呼ばれてるんですけどっ!?」
ロザリオさんのお願いを断った瞬間、メイーナが血相を変えて自分の時と違うと
蒼井に文句を言ってきた。
「だってメイーナって、年上お姉さんオーラや女神様の貫禄や威厳を、全く
感じないんだもん...」
「ちょっ!いくらなんでもシュンの中の私の評価、めちゃくちゃ低過ぎで
しょうっ!?」
自分の背後にガァァァ―――ンッ!?の文字が見えそうな程、メイーナが
気落ちして項垂れている。
「う~ん、評価が低いとかじゃなくってさ...何て言うか、僕にとっての
メイーナって、親しい以上の身近な間柄...そんな感じなんだよねぇ!」
「ひ、親しい以上の身近な間柄...っ!?そ、そっか...シュンったら、
私の事をそんな風に思ってたんだ...てへへ♪」
蒼井の言葉を聞いてガバッと顔を上げたメイーナが、相好を崩す勢いで
デレデレに照れると、クネクネと身体を動かして喜んでいる。
「あ、あの勇者様...。先程からボーッとしていますが、どこか具合でもわるいの
ですか?」
ボーッとしていた蒼井の事を心配したロザリオが、おそるおそると声を
かけてくる。
「あ...ゴメン、ゴメン!ちょっとメイーナと話をしててさ...」
「め、メイーナ!?メイーナとは女神メイーナ様の事でしょうか!」
蒼井からメイーナの事を聞いたロザリオが、震える様に口をパクパクとさせ、
動揺した表情で聞いてくる。
「う、うん。そのメイーナだよ」
ロザリオさん、ココとおんなじ反応をして驚いているな...。やっぱり
メイーナって、くさっても女神様なんだ...。
「あの女神メイーナ様と会話を...」
「コホン、あの~もしもし、ロザリオさん~?」
ボーッと考え事をしているロザリオさんに、軽めの咳払いをひとつ吐いて、
こちらに気づかせる。
「す、すいません!メイーナ様と聞いて、つい...」
「はは...そういえばロザリオさん、何か僕に聞きたい事があったん
じゃないんですか?」
僕はロザリオさんの行動にニガ笑いを浮かべると、先程ロザリオさんが
聞こうとした事を、改めて聞いてみる。
「あ...そうでした!私がお聞きしたかったのは、勇者様が魔族をお倒しに
なられたのかっていう事です!」
「うん、そうだよ」
「ええぇぇ――ッ!やっぱりぃぃぃぃ―――っ!?
蒼井が魔族を倒した事を知るや否や、ロザリオが喫驚して叫声を荒らげる。
「で、でも...魔族の数は軽く200人はいたと思うのですが...?」
「ああ、確かにいたよ...隊長クラスもね!」
「たた、隊長クラスもいたんですかぁぁっ!?も、もしかして、その隊長クラスも
お倒しになられたとか...!?」
「うん、まぁ...一応。でも正確には、グランキュード砲の糧になって死んだが、
正解なんだけどね!」
「ググググ、グランキュード砲、でで、ですってぇぇぇぇ―――――――ッ!?」
次々と自分の耳に入ってくる信じられない情報に、ロザリオは目が飛び出しそうな
くらいに、目を見開いて驚いてしまう。




