6話・素の女神様
「さあ!そういう訳なんだから、キミの名前を教えてよ~♪」
――うぐ!?
な、何ですか、そのキラキラした瞳は!
何かめちゃ可愛いですね!
それにメイーナ様、僕の前ではもう完全に素を隠すつもりが
ゼロみたいだな。
ふう、
「......じ、じゃあ、改めて自己紹介するね。僕の名前は蒼井瞬って
いう名前だよ、メイーナ様!」
僕はコホンと咳払いをして、自分の名前をメイーナ様に名乗る。
「蒼井...瞬......か!良い名前だ!よし...それじゃ、これからキミの事は
シュンって呼ばせてもらうよ!あ、シュンの方も私の事はメイーナって
呼び捨てで呼んでね!後、敬語も抜きでお願いねぇ♪」
メイーナは満面の笑みを浮かべ、今度は自分の自己紹介と呼び捨て&
敬語抜きを希望してくる。
「うん、分かりま......分かったよ、メイーナ!これでいいか?」
「おお!流石は私が選んだ男だねぇ、シュン!女神の頼みとはいえど、
そんなあっさりと呼び捨てできるとは!さっきのド真面目な男とは
段違だよ♪」
ド真面目な男って...もしかして光牙院君の事か?
あの時はあんな悠長に話してたのに、心の中ではそんな事を思って
いたんだ、この女神様は。
「ん...どうしたのかね、シュン?そんな熱の込もった目で私を見つめて
きてちゃって?......ああ、わかった!さてはシュン!私のナイスバディに
目が眩み、興奮してしまったんだなっ!」
「イヤ、それはない!」
「――なっ!?」
まあ確かにメイーナの素を知っていなかったら、見た目は完璧美女なので
メイーナの言葉は否めない。
だがしかし、素を知ってしまった今、メイーナに女性らしさの欠片を
全く感じません。
「へ、へえ~そっか、そっか♪私の身体には興奮しませんってか......
ふぅ~~ん、なるほど~~~♪」
「メ、メイーナさん!?な、何でそんなニコニコした顔をして、僕の方へ
ジリジリ近づいてくるのかな?」
「くふふふ、そんなの決まってるじゃない...うりゃぁぁああ――――っ!!」
メイーナがそう叫ぶと同時に蒼井目掛けて突進し、そして蒼井を捉まえると
その勢いでギュッと抱き締めてくる。
はわわわっ!?
む、胸がぁあ!?
メ、メイーナの胸が僕の顔を捉え、埋めていくぅぅうっ!?
か、顔がおっぱいの中にドンドン埋まって―――
「うしし...どうですかな~シュン?メイーナ様のナイスバディはさ♪
興奮し過ぎて声も出ないでしょ......って、あれ?ちょっと、シュン?
ねぇ、シュンってばぁぁあっ!!?」
胸に埋まり過ぎた事で、息も絶え絶えなシュンの死にかけ表情に
気づいたメイーナが、あわあわと狼狽えてテンパってしまう。
そりゃね、メイーナさん。
こんな大きいおっぱいに顔が埋まったら、息もできませんって。
でもね...さっきのセリフは取り消します。
......メイーナ様、最高ッ!!
......ガク。
「キャア――ッ!シュンが白目になってるぅぅぅう―――っ!!??」
それから数十分後。
「ふう...ひどい目にあった......」
「はは...メンゴ、メンゴ!ちょいとイラッときてムキになっちゃった♪」
「イ、イヤ...別に謝らなくてもいい。色んな意味でいい体験だったし......」
顔がおっぱいに埋まる経験なんて、中々できるもんじゃないしね。
それにおっぱいにうずくまって気絶するっていう経験も。
「......コホン。さて...そんじゃ、そろそろ僕もアーチとかいう世界に
行くとしますか!メイーナ、僕を転移させる準備はできているのか?」
「そ、それはできているんだけど......嗚呼!やっぱり駄目だぁあっ!
シュンをあんな世界に裸一貫で送るなんて心配になってきたぁぁあっ!!」
あ、あんな世界にって...あなた一応、この世界の女神でしょう?
でも心配してくれるのは、素直に嬉しいかな♪
「......よし!シュンにもしもの事がないように、あれらを持たせようっ!」
「あれら?」
「そうと決まれば、善は急げだ!それじゃ、シュン。ちょいと今から
キミの為に色々と準備をしてくるよ!だからキミはそこでのんびりと
待っててねぇ~~~っ!」
メイーナがそう言うと、奥の方に見える神殿らしき場所へ、猛ダッシュで
駆けて行った。
それからしばらくして、メイーナが神殿らしき場所から帰ってきた。
「へへ~♪シュン、おっ待たせぇ~♪」
意気揚々とした表情でそう言うメイーナの肩に、バッグらしき物が
掛けていた。