54話・魔王の存在
「くそが、何が無類無き強さだ!人間風情にこの言葉を当てはめるんじゃ
ねぇよ!その言葉は俺達、魔族にこそ相応しいの――――――っ!?」
先程の魔族の言葉を思い出し、ムキムキするナックは側に置いていた剣を
手に取って、豪快に部屋の外へ出て行く。
だが外へ出た瞬間、自分の目の前で起こっている光景に言葉を失う......。
「い、嫌だぁぁ!?俺はこんな所で死にたく――――――」
「な、何なんだ!あ、あの白い球体の穴は、吸い―――」
「離れても、離れても、あの吸い込みから逃――――――」
「くそ、くそ、くそ、消えろよ、消え―――――――――」
「よし...次はそっちの方角だっ!!」
僕が装備アクセサリーの1つ『白のブレスレット』を発動させると、
無数の白い球体が、僕が立っている場所の上空に現れる。
そして、その白い球体が魔族達をロックすると、次々と魔族達が球体へ
吸い込まれて行く。
「な、何だ...この光景は...お、俺達魔族がこうもあっさり......」
その一方的に...圧倒的にと起こっている攻撃に、ナックは茫然自失して
眺める事しかできなかった...。
「す、凄いね...これ、魔族達が問題無用でどんどん穴の中に消えて行く......」
「ふふ~ん、スッゴく吸い込むでしょう、それ♪その装備アクセサリーは、
私の部屋のゴミ掃除用として作った物なんだよ~♪」
へ、部屋のゴミ掃除用として作っただと...そ、それでこの威力なのか...。
...って、言うか、メイーナの部屋のゴミってどんななのよっ!
「そんな事より、見てみなよシュン!魔族と言うゴミがキレイに片付いて
いく様を...ふふふ...っ!」
わ...声でわかる...。メイーナの奴、今...かなり悪どい表情をしてるのが...。
それにしても...
「ねぇ、前から思っていたんだけど、メイーナって何か魔族に怨みでもあるの?
魔族を相手にしている時のメイーナって、物凄く感情が丸出しだからさ...」
「え...?嗚呼、そうだね...あるちゃ、あるかな...。正確に言うと魔族にじゃなく、
こいつらの女神にだけどね...」
「へ...!女神って、メイーナ以外にもいるの?」
「何を言ってるんだい、シュン...。あなた達を召喚した際に「私達女神に」って
言ったし、ココの主従契約の時にも「7大女神」って、私...言いましたよ?」
「な、7大...じゃあ、この世界を作った女神は七人いるの?」
メイーナの言葉から、女神が七人いる事を知った僕は、その事に目を丸くして
驚いてしまう。
「そうだよ、ちなみに私達女神の上に大女神様がいらっしゃるから、女神という
くぐりで言うなら、8人って言った方がいいのかな?」
「は、8人...そんなに女神様っているんだ?やっぱり、メイーナみたいな駄女が...
ゲフン、ゲフン...癖のある女神って、メイーナだけなの?」
僕は思わず口にしそうになった本音を、咳払いで誤魔化し改めてメイーナに
聞き直した。
「ち、ちょっとシュン!今、駄女神とか言おうとしてなかった!そ、それに
言い直した方も結構、ヒドイ言い方だよ!」
メイーナが蒼井に駄女神呼ばわりされそうになった事や、その後の言い直しに、
頬を膨らませて怒っている。
「なぁ...メイーナ。魔族って言うか、魔王にも女神がいるって言うなら、
この世界の戦いって...お前達、女神達の気まぐれな遊びなのか?」
僕は少し困惑した表情で、女神の遊びにつき合わされているのはと、
メイーナに問いかける。
「嫌だな~流石にそれはないない。それに魔王って、私達女神の管轄外の
存在だし!」
蒼井から発された問いに、メイーナの返した答えはノーだった。
でも、魔王がメイーナ達の管轄外...?
「それって、つまり魔王は女神達が作ったとかじゃないって事?」
「うん、その通りだよ。それなのに魔族共ときたら、魔王と考えや性格が
似ているからなのか知らないけど、いつからか魔王の事を自分達の神として
崇めるようになっててさぁ...。本当に困った連中だよ!」
よっぽどその事がイラつくのか、メイーナの喋り方が完全にゴミの事を
話している様な口調になっている。
「じゃ、あいつら...魔族の女神って、崇拝されてないの?」
「はは...それが、厄介な事にあいつ...」
「き、貴様ぁぁっ!そこで何をごちゃごちゃと、独り事を言っていやがるんだ!」
僕がメイーナと女神について語らっていると、物凄く血相を変えた魔族が
拳をぶるぶると震わせて叫声を上げながら、こっちを睨んでくる...。




