52話・女神メイーナの真・勇者
「では、女神メイーナに選ばれし真・勇者シュンよ!この世界に蔓延る
悪の手先、魔族を見事討ち滅ぼすのです!さぁ!行きなさいっ!」
女神メイーナが神々しくも美しい声を以て、真・勇者シュンにこの世界の
希望と未来を託す!
「はい!わかりました、女神メイーナ様!では、不肖な勇者ではありますが、
この蒼井瞬、この世界の平和の為に出陣いたします!」
女神メイーナに片ひざをついて一礼すると、僕はメイーナ・ブレードを右手に
左手にメイーナ・シールドをそれぞれ身につけて立ち上がる。
そして世界の希望として、僕は魔族の待つ場所へおもむくのであった...!
「...て、誰がおもむくか!あまりにも神々しく号令するから、つい、釣られ
ちゃったじゃんか!」
「え~ここまで乗ったら、最後まで乗りましょうよ!つれないですよ~!」
「ノリで二百人の魔族と、一撃で町を吹き飛ばす魔導兵器に向かって突撃なんか
できるかぁっ!」
1人でも厄介な魔族なのに、それが×200待ち構えている場所にノリで行かせようと
するメイーナへ、僕は目を見開き、怒声を荒らげ説教する。
「先程も言いましたが大丈夫ですって。たかが魔族の二百人程度、あっという間の
瞬殺ですよ!シュンが殺すって書いてね~♪」
「おい!誤解を招く言い方をするな!そりゃ、確かに字は合っているけどさ...」
「大体、あいつらをここで倒さなきゃ、カトンの町はおしまいなんですよ!
シュンだって、それが嫌でここに来たんじゃなかったの?」
「うう...そうだな、確かにメイーナの言う通りだ...。ここであいつらを討たなきゃ
カトンのみんなが危ないんだよな......よし!やるか!」
僕はそう決意すると深呼吸を1回...2回...と、吸っては吐くを繰り返し、そして
静かに身構える。
「んじゃ、メイーナ。気合いを入れる為に、さっきの様な号令を頼む!」
「ハイハイ~了解!私...女神メイーナにおっ任せ~♪では、こほん......
真・勇者シュンよ!この世界に明日と言う希望を勝ち得る為に...今こそ
その持てる力の全てを使って、魔王の手先...魔族を討ち滅ぼすのですっ!
さぁ!真・勇者シュンよ!女神メイーナの名の元に出陣するのですっ!!」
「はいっ!真・勇者こと...シュン・アオイが、女神メイーナの名を以て、
明日と言う希望を勝ち得る為に...魔族を亡きモノにせんが為に......」
「いざ、推して参るっ!!」
その言葉を力に大地を蹴りあげ空中に飛び上がると、僕は魔族の待つ場所へと
加速を上げ、突進する様に飛んで行った!
「はは...あんな事を言っていた割には、結局ノリノリじゃないですか...♪
やっぱり面白くて最高だよ、私のシュンは♪」
魔族へ突っ込んで行く蒼井の背中を見ながら、メイーナがその姿に微笑みを
浮かべている。
「おお...やっぱ凄いな、このガントレットの効果は!どんどんと魔族へと
近づいて行く!」
「ん...!あ、あれはなんだっ!?」
1人の魔族が何かに気づき、空を見上げて叫声を上げる。
「どうした?いきなり、そんな大声を上げて?」
「ほ、ほら、あそこを見てみろって!何かの塊が、どんどんこっちに
向かって飛んで来てるんだよっ!」
「はあぁ?何を寝ボケた事を言って―――」
その魔族が言葉を言い終わる前に身体から首がおさらばをして、空中に
飛び舞わる。
「なっ!どうしたんだ!?なんでアイツの顔があ――――」
殺られた仲間の魔族に気を取られていた他の魔族が、気づく間もなく、
自分の身体が縦に真っ二つに斬られ、左右にバタンと倒れる...。




