49話・二百人の魔族
「でも、そうだよ。メイーナが殺ったんだから、もう魔族はもういない訳だし、
もう慌てる必要はないって事か...」
「いいえ、残念だけどシュン。魔族は私が倒した奴だけじゃありませんよ?」
「そ、その声はメイーナ!まだいたんだ?」
「ちょっとシュン!今の言い方はいくらなんでも酷過ぎですよ!女神だって、
泣いちゃう時は、めっちゃ泣いちゃうんだぞ!」
メイーナは頬を膨らませて、シュンの態度にプンプンと抗議する。
「はは...ごめんねメイーナ、そんな意味で言ったんじゃないんだ!」
「ほ、本当ですかぁ...?」
メイーナは少し疑いの眼で、蒼井の顔をジィーッと見ている。
「ほ、本当だって!女神業で忙しいのに僕達の為、まだいてくれたんだ!
...って、意味だったんだよ!」
「まあ、いいです。取り敢えず、その言葉...信じてあげる!」
「はは...あ、ありがとう...」
「それじゃ、話を戻しますが...。あの魔族には仲間がいた様で、どうやら
あいつを殺った奴を、血眼になって探しているみたいですね...」
「あの魔族を殺った奴をって...それって...!?」
「ピンポ~ン、それは私です!アハハハ―――ッ!本当にお馬鹿な
連中ですよねぇ!この世界のどこを探したってそんなのいるわけないのに、
だって、私...天上界にいますもん♪」
メイーナが魔族を小馬鹿にしながら、高々な笑いで叫声する。
こ、この駄女神は...。
「で...メイーナ、その血眼に探しているって連中は、一体どれくらい
いるんだ?一人?それとも二人?」
「いいえ、一人でも二人でもありませんよ?」
「じゃあ、三人なのかい?」
「いいえ...三人でもありません...」
「じ、じゃあ、一体どれくらいの人数が探しているんだ?」
「そうですね...?あの数は...大体、およそ二百人くらいでしょうか?」
メイーナと押し問答を繰り返して出た答えは、蒼井の予想を遥かに
超えた数だった。
「に、二百人だとぉ!そ、それじゃ、もし...もしその連中がここに来よう
ものなら...」
「間違いなく、カトンの町は地平線が見えるくらいに無へと変わっていくで
しょうね...」
ごく...。二、二百人も魔族が攻めて来たら、そりゃそうなるよな...。
「それで、その魔族がここに来る確率って、一体どれくらいなんだ?」
「魔族がここに来る確率ですか...?ほぼ、100パーセントですよ!」
「ひ、ひゃくパーセントだとぉぉっ!?じゃ、完全にこのカトンは終わる
じゃんっ!?」
「はい、終了ですね!」
本当、あなたってこの世界に関心がなさ過ぎですよね...。もうちょっと慈悲深い
言葉をこの世界に吐いてあげようよ...女神メイーナ様。
「...と、言う訳でシュン。あなたもさっさとここから逃げる事を推奨しますよ!」
「100パーセント、滅ぶか...」
僕を優しく迎え入れてくれた町が...屋台のお姉さんが...受付嬢のルビさんが...
あの魔族とか言う連中に滅ぼされるって言うのか...。
そんなの...僕は嫌だ!
「なぁ...メイーナ、その魔族ってここからどこくらい離れた場所にいるんだい?」
「え...?あいつらなら、ここから約南南西に50キロ先にいるみたいだよ?」
「そっか...じゃ、ちょいと行ってきて全滅させてくるかな?メイーナ特製の
この装備とアイテムを使えば、それくらいの数、パパッと倒せるよね?」
「ええ、勿論だよ、たかが二百程度の魔族なんて、あっという間だね♪」
「うし!メイーナの言質も貰った事だし、早速、魔族退治に行きますか...!」
僕はそう言うとアミューに見つからない様に裏手に回り、そこで腰にぶら下げている
メイーナ特製アイテム【銀の鎖】についているボタンを押す。




