477話・よし!ソニア姫様を助けに行こうか!
「......そ、そっか」
言われれば確かにそうかもしれんな......。
ニーズの言う様に、ズズーンの屋敷で見たロキ達は強かったし。
じゃ、じゃあ、取り敢えず、不安材料は取り払われたって事で良いのか?
......いや、
正直いって、不安も心配も全然拭えてなんていない。
――ルビさん。
――アミュー。
――そしてロキ達。
100パーセント大丈夫だと言われない限り、
不安や心配する気持ちを払拭するなんて事はできないんだよなぁ。
何せ、優柔不断な性格なのもので。
だけれども、
ニーズやヌーザの話を聞くに、ソニア姫さんはかなり危うい状態に
あるらしいからなぁ。
こいつらが焦っているんだ。
本当にヤバくて、相当危機的状況なんだろう。
だからここは僕の仲間達の力を信用して信頼し、不安や心配な気持ちは
全て心の奥へグッと押し込めよう。
そして、
僕は僕のやるべきをやるっ!
「......よし!それじゃ、ニーズ、ヌーザ。今から僕達はソニア姫様を
救出するべく、竜の里へ急ぎ向かおうかっ!」
僕はニーズからの依頼......竜人族のソニア姫様を救出する為、気合いを
改めて入れて直すと、ソニア姫様の救出準備に入る。
「――え!?い、今から!?良いの?ザッカの町には戻らなくて?」
「ああ。今ザッカに戻るよりも、まずはソニア姫様の救出を優先させた方が
いいだろうからね。僕もソニア姫様の事は早く助けてあげたいしさっ!」
「そ、そっかぁ~!あ、ありがとうね、シュン君!ソニア様の救出を
手伝ってくれてぇ!ホント感謝感激だよぉ~~♪」
「おお、人族シュンよ!ソニア姫様の救出を手伝ってくれるのだなっ!
とても心強く思うぞ!私からも感謝の言葉を送らせてくれ!本当に感謝だ!
ありがとうっ!」
蒼井の言葉を聞いて、ニーズとヌーザが感謝の言葉を伝え、頭を下げる。
「はは。どこまでやれるかは正直分からないけど、やれるだけはやって
みるから、大船に乗ったつもりで任せておいてよっ!」
僕はにこやかな笑顔でニーズ達にそう言うと、拳で胸をドンッと叩く。
「それじゃ、早速....おっと、そうそう。その前に...おい、ココ起きろっ!」
「むにゃむにゃ...ボク...まだまだ食べられるよ...お兄ちゃん。グ~グ~♪」
「あらら、ココちゃん。思いっきり寝ぼけているねぇ~♪」
「疲れて寝ちゃうのはしょうがないか......」
だって僕が居眠りをしている間、ナヒと一緒にあの子達を守る為に
気を張っていたらしいからなぁ。
「起こすのもなんか可哀想だ。よし、このまま抱き抱えて行くとしますかね。
よいしょっとっ!」
気持ちよさそうにグーグーと寝ているココの身体をユックリと抱き起こすと、
僕はココをソッと静かにお姫様抱っこする。
「ああ、いいな~いいな~!ココちゃん、いいなぁ~!!私もシュン君に
お姫様抱っこされたいよぉお~~っ!」
「――な、なな、な!?ニ、ニーズをシュンがお姫様抱っこだとぉおおっ!?
な、何てハレンチな事を考えているんだ、貴様はっ!ええ~い!は、は、
恥を知れい、は、恥をぉぉおおっ!!」
「は、恥って...じゃあなに?ヌーザはシュン君からお姫様抱っこをして
欲しくないんだぁ~?へぇ~そうなんだぁ~?ふぅ~~~ん!」
「うぐ...な、なんだ、ニーズ!そ、そのニマニマした顔はぁぁあっ!?
殴り飛ばされたいかっ!!」
ニーズのからかいに対し、ヌーザは眉をピクピクさせながら拳に気合いを
貯めていく。
「あわわわ!?ス、ストップ、ストップゥゥゥウッ!やめ、やめぇ、ヌーザ!
そんな力で殴られたらぁあ~、プ、プリチーな私の顔がグシャグシャに
潰されてしまうぅぅぅう~~っ!!?」
「ふん!だったら、今度からは言葉には気をつけて、慎んで喋るのだなっ!」
慌てながら平謝りしてくるニーズに対し、ヌーザが呆れた口調でご立腹した後、
拳に込めていた気を静かに解放していく。
「もう...ちょっとした冗談なのに、そんなにムキにならないでよねぇ!
この......堅物女めっ!」
「......ん?何か言ったか、ニーズ?」
「い、いいえ!何も言ってませんけど!あは、あはは......さ、ささ、
そんな事より、早速竜人族の里に行こうよ!ハァ~出ろ、ウインッグッ!
とうぉぉおっ!」
ヌーザのジト目を回避するべく、ニーズは急いで背中から羽根を生やすと、
竜人族の里がある方角に飛んで行った。




