472話・突如巻き起こる、様々なる大イベント
「お、おい!ちょっと待て、ニーズ。肝心な情報をシュンに伝え忘れているぞ!」
「はい?肝心な...情報??」
――ハッ!?
「嗚呼~!そ、そうだったぁぁあっ!?スッカリ忘れてたよぉお~~っ!?」
ヌーザの指摘にニーズが手をのひらをポンと叩いて、伝えるべき情報を思い出す。
「えっと...実はね、シュン君。今ザッカの町が結構大変な事になっているんだよ!」
「ザ、ザッカの町が!ま、まさかザッカが盗賊か魔物に襲われているとかかっ!?」
「魔物!?違う違う!いや、少しだけ...違くなくないか。えっとね...その...
ザッカの町がね、今その魔物と魔族の事で...てんやわんやしちゃっててね......」
「ま、魔族だって!?もしかして魔族達がザッカの町を襲撃してきたのかっ!?」
「それも違うかな!だからね、その魔族が...というのはね...つまり......」
「説明下手かぁぁあっ!ええい、まどろっこしいわっ!お前の説明では
いつまでも経ってもシュンに要件を伝えられんわっ!そこをどけ、ニーズ!
後は私がシュンに説明するっ!」
「ちょ!割り込んでこないでよ、ヌ―――――ハギャ!」
説明が下手なニーズに業を煮やしたヌーザが、埒が開かないとニーズと
蒼井の間に割り込むと、ニーズを裏拳でぶっ飛ばす。
そしてヌーザがニーズの代わりにザッカの町で起こった、事の次第を
説明していく。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「...と、言うわけなのだよ!」
「マ、マジでか......」
ヌーザから述べられた衝撃事を要約すると、
まず最初に、魔族が魔物の軍団を引き連れてザッカの町から少し離れた
場所にあるというクローク城を襲っているという情報がザッカの町の
冒険ギルドに入ってきたらしく、
そこでその魔族と魔物の軍団を討伐するべく、数十名の高ランクの
冒険者と、魔族に大きなダメージを与える事が可能な勇者数名が、
そのクローク城に向かったという情報。
そしてその討伐メンバーには、Sランクのルビさんとザッカのギルマスの
サァジュさんも加わり、ついていったという情報。
次に、ザッカの町から見えていたあの雪山に長く封印されていたという、
『フロストドラゴン』なる魔物が蘇ったらしく、その討伐にザッカの町に
遅れてやってきた勇者一行が向かったという情報。
そしてその討伐には、フロストドラゴンの弱点とされる炎を最強にまで
引き出せる剣...紅蓮の大剣を持っているアミューがギルドから指名クエストを
受け、遅れてやってきた勇者一行に同行して行ったという情報。
後は、リリちゃんの予定していたナイッツァ学園への来訪の日程、その日程が
急遽変更されて早まったらしく、然れど勇者が殆どいなくなってしまった
今の現状ではその来訪は叶わないので来訪を断ろうとしたらしいのだが、
それを聞いたロキ達が、ならば自分らがそのいなくなった勇者の代わりにと、
リリちゃんの護衛に駆って出たという情報。
ふう......と、まぁ、大体こんな感じか?
「し、しかし僕がお留守をしている間に色々なイベントが一辺に起こっている
みたいだね。それに僕の竜人族のお姫様...ソニア様の救出が加わる訳だし...」
マジでイベントが目白押し過ぎじゃないですか!?
「でもルビさんとアミュー、本当に大丈夫なのかな?魔族とドラゴンだよ?」
「ルビさんは大丈夫だろう。何故なら、ルビさんはあの怒鬼エルフだからなっ!
そう...三十年前の亜人戦争の時、連戦に次ぐ連戦で疲労困憊に陥っていた人族と
亜人族を見て、漁夫の利を狙おうとした魔族共がその場に現れ襲いかかって
きたらしいのだが、そいつらを怒鬼エルフ...つまりはルビさんが、容赦なく
フルボッコにし、全員纏めて追い返したという英雄伝説があるからなっ!」
「うんうん♪私達亜人族の間では勇者なんかより、よっぽど超有名人さん
なんだから、ルビさんって♪」
「だからザッカの町でルビさんに出会った時は、感動と畏怖で本当に身震いが
止まらなかったぞ!しかもそのルビさんがシュンの仲間だったと聞いた時は
心臓がとまりそうだったなっ!」
「私もズズーンちゃんの屋敷でそれを知った時はめっちゃビビったよ~!
ヤベェッ!私、怒鬼エルフを敵に回している......ってさ!いや~ホッント、
シュン君を敵にならなくて良かったよ~♪」
「そうだな。その意見には私も概ね賛同だ。もし怒鬼エルフを敵に回して
いたらと思うと、想像でもゾッとしてしまうっ!」
蒼井の事を敵にしなかった事に、心の底から安堵するニーズとヌーザの
二人だった。




