452話・キリがありません
行っちゃった......。
「でもグラスったら、邪神を相手にして本当に大丈夫なのかな?私も
グラスの加勢をしに、一緒に行ってあげたかったけど、グラスの屋敷が
ある場所って、確か私が入っていけない所にあるとか前にグラスのやつが
言ってたしなぁ......」
でもまぁ。ああ見えてグラスって、かなりの強さと強ギフトの持ち主だし、
きっと何とかしちゃうでしょう。
それにもし、いざとなれば、グラスの仲間が救援に駆けつけてきて、
一緒に闘ってくれるだろうしねぇ。
だって、相手は極悪非道なる邪神なんだしさ。
なので取り敢えず、今はグラスの件は一旦横に置いておくとして、
まずはこちらの問題から片づけていこうか。
「......コホン!え~プラム、プラム。聞こえていますでしょうかぁ~?
大変申し訳にくいのですが、大至急、もう一度王室へときてもらません
でしょうかぁ~~!」
ナッちゃんは気持ちを切り替えると、テーブル上に設置されている部下を
呼び出す為のアイテム、そのスイッチをカチッと入れると、再びここ...王室に
プラムを呼び出す。
それから数分後......。
コンコン!
「あ、あの...お呼びでしょうか?わたくしです!プラムでございますっ!」
ナッちゃんに再び呼び出されたプラムが王室の前に急いでやってくると、
右手で王室のドアを数回軽くノックする。
「ああ。プラムですか?早かったですね。どうぞ中にお入りなさいな!」
「はっ!では失礼いたしますっ!」
ナッちゃんから王室への入室許可を得ると、プラムはビシッと敬礼を決め、
そして静かにドアをカチャッと開けて中へと入って行く。
「そ、それでわたくしに何かご用意でしょうか?」
「えっとですね...報ふ―――」
「あ!もしかして報復の件でございますか?それでしたらどうかご安心下さい!
滞りなく、あのクソ野郎ソングの城...参魔城へ叩き送ってやりましたのでっ!」
「ク、クソ野郎ソングッ!?」
ナッちゃんから報復の件について聞かれると思ったプラムは、口角がニヤリと
上がり、そして表情をしたり顔へと変えると、ナッちゃんに意気揚々とした
口調でそう答える。
プラムったら、これ以上はないって程の清々しい顔をして、さらりと
とんでもないことを口ばしっていますね......。
あの人、一応王様だよ?
そりゃ、あなたがいつもソングさんにからかわれている所を見ていますので、
その感情と気持ちは何となく察しはしちゃうけどさ......。
「え、えっとね、プラム。その報復の件なんだけどさ。ソングさんの城に
撤回するっていう伝書を送ってもらってもいいかな?」
「ええええぇぇぇっ!なな、何故ですか!?今なら大義名分という名目で、
あの忌々しいクソ野郎のソングをぶっ殺―――げふん、痛い目を見せられる
チャンスなんですよっ!!」
ちょ!プ、プラムさん!?
今あなた、ぶっ殺すとか言いそうになりませんでした!?
「そ、それによろしいんですか?報復を撤回するっていう事はですよ?
グラス様の好意を無下にしてしまうんですよっ!?」
「別に構いませんよ。報復の件はグラスから一任されてますしね。大体、
こんな些細な事でいちいち目くじらを立てて戦争を起していたらキリが
ありませんよ。ホント、馬鹿馬鹿しいですっ!」
グラスの意向を完全に無視するナッちゃんの行為に、プラムが驚きを見せ、
反論するが、ナッちゃんは呆れた口調で愚痴をこぼし連ね、そのプラムの
反論を正論で論破する。




