441話・エルフ族の少女と合流
こ、これは吸収の盾?
「なるほど!こいつを使って、あのドラゴンブレスを吸収するんだな!」
僕はナヒの考えを瞬時に理解すると、目の前に現れた吸収の盾を右手に
パッと掴む。
「ギャオオオオ―――――ンッ!」
「吐かせるかぁぁっ!行けぇぇ、吸収の盾ぇぇぇ!あいつのブレスを
吸収し、まとめて返せぇぇぇっ!」
僕はそう叫ぶと、右手に掴んだ吸収の盾をドラゴンの口前に勢いを
つけて思いっきり投げつけた!
「―――ッ!!?」
すると、蒼井の投げつけた吸収の盾が、ドラゴンの吐き出すブレスを
ドンドン吸い込んでいく!
そして吸収の盾がドラゴンのブレスを全て吸い尽くした次の瞬間、
吸い込んだブレスを全部ドラゴンへと返す!
「グギャァァアァァァァァァァァァッ!!!」
自分のブレスを返され、その身を焼かれるドラゴンが、空気を切り裂く
叫声の断末魔を辺り一面に響かせると、エルフ族の少女が立っている
少し前の地面へと大きな音を上げて崩れ落ちていく。
「よっしゃぁ!何とか間に合ったようだなっ!」
僕は地面に崩れ落ちたドラゴンが動いてないのを確認すると、右の拳を
天に力強く突き上げ、勝利のポーズを取った。
「え!?こ......これは...なに?い、一体、何が起こったっていうの?」
ドラゴンがいきなりやられた事に驚いて、地面に足を崩してペタンと
座っているエルフ族の少女の元に、
「そこのキミ。大丈夫かい?ケガはしていないかい?」
「えっ!?」
空から地面に降り立った蒼井が、エルフ族の少女の安否を確認する為、
ゆっくりと近づいて行く。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「そ、そうだったんですか......。い、今の攻撃は貴方が......」
「まぁね。でもさ、キミみたいな少女がドラゴンをひとりで相手に
しようだなんて...いくらなんでも無謀も大概だと思うぞ?」
「うう...ゴメンなさい。でも、みんなを無事に逃がしたかったら...うう」
蒼井が真面目な表情と口調で軽い説教すると、目の前のエルフ族の少女は
涙目に変わり、頭を垂れてシュンとしてしまう。
「そっか。やっぱり、他のみんなを逃がす為の行動だったんだね?」
「あの子達は...わ、私が守らなきゃいけないと思って......」
「あの子達を守らなきゃ......か。まぁ正直、僕も仲間を逃がす為なら、
キミと同じ行動を取ったと思うから。だから、この話と反省はそこまでと
しておこうか!」
腕に抱きかかえている僕の大事な仲間...ココの頭をソッと撫でながら、
エルフの少女にニコリと微笑む。
「じゃあ、ココ。早速でわるいけど、この子の奴隷化を解除してあげてよ!」
「うん。分かった、お兄ちゃん。よいっしょっと!」
蒼井の言葉にココが笑顔で返事を返すと、蒼井から離れて地面に足をつける。
「え?ど、奴隷の解除...今、奴隷の解除とか言いませんでした?」
「うん。正確にいうと、奴隷化の上書きなんだけどね!」
ココは奴隷の上書きの説明を、ハテナ顔をしているエルフ族の少女へと詳しく
していく。




