44話・主従契約完了
「主従契約をやる事に決めたはいいけど、それってどうやって契約を
するんだ?何か準備とかしなくてもいいの?」
「それなら大丈夫だよ!既に主従契約の下準備はできちゃっているから♪」
「え...下準備ができてるって...どこに?」
メイーナの言う準備をキョロキョロと見渡し探して見るが、どこにも
それらしいモノは見当たらなかった。
「そんな所にないって。ほら、さっき獣人娘に刻んだ女神紋があるでしょう?
あれを使って主従契約をやっちゃおうって思ってね♪」
「さっきココに刻んだあの紋章...?あれを使えば、主従契約ができるって
事なのか?」
「うん。正解!じゃあ...ちゃっちゃとやろうかしらね。あ~あ、あ~そこの
獣人娘、聞こえるかしら?」
「は、ハイッ!めめ、メイーナ様ぁ!き、聞こえていま――痛たたた、し、舌を
噛んじゃった...!」
女神であるメイーナからいきなり声をかけられたココが、目を丸くして喫驚し、
オロオロと慌てて返事を返そうとするも、呂律が回らず舌を噛んでしまう。
「もう...そう堅くならないの!コホン...では、今から主従契約を始めるので、
私の紋章を天へ突き出す様に向けてみて...!」
「天へ突き出す様に...こ、こうでしょうか?」
第1ボタンを外して少し服をはだけさせ、胸の少し上に刻んである紋章を
天へと向けた。
「ハイハイ、上出来だよ。それじゃ...行きます!」
『アース第3天女神メイーナが、主シュンに従者の誓いを立てた獣人ココの
主従契約を開始する!心へと楔を繋げ!誰にも砕く事の決してできぬ絆をっ!
そして、誓え!決して違えぬと言う信頼という繋がりをっ!』
「......」
ココはメイーナの言葉に静かに首を縦に振る。
『今、誓いの意志を鎖を確信しました!ハァァァァ―――――ッ!』
メイーナが持っている杖を天高く掲げると、杖から発された2つの閃光が、
地上へと降り注ぐ!
「うわぁっ!?」
「キャッ!?」
そして、その閃光がシュンとココに向かって降り注がれると、2人の身体へ
吸い込まれる様に消えていく...。
「び、ビックリした~!」
「ふう...シュン!無事に終わったよぉ~。これで今日から二人は
主と従者の関係なのです♪」
緊張から解放されたメイーナがひと息吐くと、蒼井とココに主従契約の
完了を告げ、ブイサインを決める。
「これで本当に契約が完了したの?何か、あんまり実感がないな...
なぁ...ココ、そっちはどうだ?」
僕は身体をペタペタと触って確認して見たが、どこも変わっていないので、
ココの方はどうなんだろうと気になり声をかける。
「ボクは何か、身体の中が熱い...って言うか、ポカポカするって表現の方が
正しい...かな?」
「か、身体の中がポカポカ...嗚呼、そう言われれば...僕もポカポカしてるな...!」
でもこの感じ...もっと正確に表現するなら、身体がポカポカって言うよりも
心がポカポカって感じだ...。これがココと繋がっているって事なのかな?
「えへへ...これって、お兄ちゃんとボクが繋がってるポカポカなんだよね♪」
「はは...そうだな、これがココと僕の心を繋いだポカポカだよ♪」
ココがお日様の様なキラキラした笑顔で、こちらをジッと見てくるので、
僕も嬉しくなり、相好を崩した微笑みが浮かんでしまう。