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43話・主従契約


「こ、ココ...何を言っているんだ、せっかく奴隷から解放されたのに、

何でまた奴隷に戻ろうとしているんだ?」


色んな不遇からやっと抜け出して手にした自由だろうに...。それを何故、

また不意にする事を言うんだ?


「だって、ボクのこの命はお兄ちゃんに貰ったものです...だったら、

ボクのこれからの人生は、全部お兄ちゃんの為に使いたいんです!」


「人生を僕の為に使いたいって...そんなの駄目に決まっているだろ!」


右腕も動かない子どもだったのに、奴隷と言う立場のせいで散々、非道な

扱いを受けてきたんだろ...?


それなのに何でまた嫌な思い出しかない奴隷なんかに戻ろうと考えられるんだ!?

ココ...僕にはその理由がわからないよ...。


「ふう...相変わらずシュンは鈍感さんだよね~その獣人娘の本当の気持ちが

全く、わかっていないんだもの...」


「え...ココの本当の気持ち...?そ、それはココが言っている様に僕の奴隷に

なりたいって事じゃないの?」


メイーナのその発言を聞いた僕は、その言葉がよく理解できず、頭の中が

グルグル回ってしまう。


「まぁ、それも願いの1つなんでしょうが、この獣人娘はね...シュン、

あなたと離れたくないんですよ...。ずっと側にいたい...なら、どうすれば叶う?

何もできないただの子どもの自分が、シュンの側にいられる条件......」


「.........」


「そう...答えは1つ、シュンと奴隷契約をすれば離れられなくてすむ。

一度契約しちゃえば、この世界で奴隷解除は中々簡単にはできませんからねぇ...」


「それは本当なのかい、ココ...?君はそんな理由で僕の奴隷になるって

言ったのかい?」


僕は真面目な表情でココをジッと見続けて、口調に少し感情が乗った言葉を

発する。


「あ...ああ...!ご、ごめんなさい、ごめんなさい!もう...言いません!

だ、だから、そんな顔をしないで下さい!ボクを嫌いにならないで...うう...」


蒼井に真面目な顔で見つめられると、ココの表情がどんどん顔面蒼白になっていき、

その瞳にはうるうると涙が溜まっていく。


「うわぁああぁぁ――ッ!嫌いにならないでぇぇぇぇぇ―――ッッ!!」


そしてとうとう感情が爆発して、ココは叫声を上げる様に号泣してしまう。


「ぐず...嫌いにならないで...嫌いにな―――――――うぷッ!?」


「なるわけないだろう...寧ろ、こんなに慕われて嬉しさMAXだ!」


泣いているココを僕は懐にギュッと抱き寄せて、その頭を優しく撫でる様に

手を動かす。


「ぐす...ほ、本当に...嫌いになって...ない...?」


「当たり前だ、最初からココを嫌いになんてなっていないよ...」


「じ、じゃあ!ボクの事を奴隷にしてくれるの、お兄ちゃん!」


蒼井の言葉を聞いてたココが、バッと顔を上にあげ、何かを期待する目で

こちらを見てくる。


「いや...それはやっぱり駄目だ!ココは自由にしておきたいから!」


「うう...くず...」


「だぁ!泣くなって...!?」


うう...これじゃ、押し問答だな...。どうしよっか...奴隷にするのはやっぱり、

嫌だし...


「では、主従契約をしてみてはどうですかねぇ~?」


ココの事で困っている蒼井に、メイーナが待ってましたと言わんばかりの

テンションで、自分の案を提示してくる。


「主従契約...これなら奴隷契約なんぞより、ずっと自由度が大きいし、

契約解除にも手間がかかりません!」


「主従契約か...」


「それにこの主従契約の特徴は、主の意思は関係なく本人自身の意思で、

契約の解除ができるって言うのが売りなんですよ♪」


「へえ...本人の意思での解除も可能なんだ......」


確か、主従って...うろ覚えだけど、主と家来みたいなものだったよな...?


メイーナの説明では奴隷契約よりかは、かなりマシな契約みたいだな、

それに契約解除はいつでもできるみたいだし...それなら...


あ...ココが目を輝かせている、ココ的にはそれでもいいのか...。

ふう...こうなったら、腹を決めるか...。


「わかった!その主従契約をココとするよ!」


「ほ、本当!本当にボクと主従契約をしてくれるの、お兄ちゃん!」


「ああ、ココにそこまで慕われたら、もう嫌とは言えないからね...♪」


「はうっ!?エヘヘ...ありがとーお兄ちゃん、ボクとっても嬉しいよ!


目を輝かせてこちらを見てくるココの頭を、僕は相好を崩す笑顔で

わしゃわしゃと撫で回した。


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