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407話・俺達が重要度は上だぞ?


「ったく...そんなくだらん噂にビクビクしやがって...こっちはいつ魔物に

襲われるかと神経をピリピリさせてるっていうのによっ!」


魔物から襲われる確率が高いとされるこの迷い森を、徒歩で歩く羽目に

なってしまった事に、厳つい顔の傭兵が苛立った表情でブツブツ愚痴をこぼす。


「あ、あの...傭兵さん。ち、ちょっといいですか......」


そんな傭兵の元に、ひとりの亜人族の娘がおそるおそる近づいて来る。


「す、少しだけでいいですから。その...きゅ、休憩をしてはもらえないで

しょうか?」


そして恐怖心を懸命に抑えた表情と口調で、傭兵にそう嘆願する。


「ああん、休憩...だと?てめえぇ!俺達の会話を聞いてなかったのかぁっ!」


「ひ、ひぃ!きき、聞いてました!で、ですが、この子達がもう限界でして...」


「はぁ...はぁ...お、お姉ちゃん......」


「足がもう...限界だよ......うう」


「こ、子ども達がこんな状態なんです!数分でいいんです!きゅ、休憩を...

どうか、休憩をお願いしますっ!」


刺すような眼光で自分を睨み、叫声を荒らげる傭兵に、休憩を嘆願した

亜人族の娘がビクッとその身を硬直させてしまうが、それでも意を崩さずに

頭を深々と下げ、震える口で休憩の嘆願を続ける。


「うるせぇんだよ、このクソガキがぁぁ!何、甘ったれた事を抜かしてやがる!

動くのが無理だってんなら、奴隷紋で強引に動かしてやろうかぁ!ああぁんっ!」


だが、厳つい顔の傭兵はそんな嘆願を全く聞き入れようとはせず、眉間にシワを

グッと寄せてると、先程よりも更に大きな声を上げ、奴隷紋を盾に亜人族の娘を

脅し怒ってくる。


「そ、そんな事を言わず、お願いし――」


「はぁ...全くあんたらってさ......」


それでも食い下がろうとする亜人族の娘の前に、連れ去れた亜人の中で

もっとも最年長である亜人族の青年が、やれやれと嘆息をこぼしながら、

二人の間にスッと割って入る。


そして間に割って入った獣人の青年が、傭兵達を蔑む表情を作り...


「その見た目と一緒で、頭の中身も脳筋なのか?」


...と、煽るな言葉で挑発する。


「だ、誰が脳筋だぁぁ!亜人風情がナマ言ってんじゃねぇぞぉぉぉっ!」


「今すぐ奴隷紋を発動させて、貴様を呪殺してやろうかぁ、あああぁぁんっ!」


亜人族の青年から軽い挑発を受けた傭兵達が、顔を真っ赤にして激昂すると、

魅了のチョーカーをビシッと指差し、亜人族の青年を恫喝してくる。


「はぁ、本当に脳筋だな...いいか、良く聞け!俺達は貴族様の商品であり、

お前らの命なんぞより、重要度は上なんだぞ?その貴族様の商品を強引に

連れて回して駄目にするのは元より、殺すだなんて論外もいい所だ。

もしそんな状態の俺達を貴族様に連れて行ってみろ。結果...お前らの身が

どうなるか、少し考えればわかると思うんだが?」


「うぐぐ...た、確かに、このガキの言う様に、ここでこいつらをキズもんにでも

しようものなら、確実に俺達の首が飛ぶ......く、くそぉ!わ、わかったっ!

休憩すればいいんだろ、おい、みんな休憩だっ!」


亜人族の青年が述べる言葉を聞いた傭兵が、このままこいつらを連れて行ったら、

恐らく自分達の命がないと気づき、慌てて休憩を取る事にした。


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