403話・ポニーテールと獣人娘
「ちょ!?な、なんで、そこでオイラの名前が出てくるんでゲス!?」
「......それで、蒼井君の仲間は何人で、その女性達はどんな感じなの?」
先程まで天を見上げていた顔をゆっくりと鈍山に向けると、蒼井の仲間の事を
聞いてくる。
「え?蒼井君の仲間の人数でゲスか?仲間は三人いたよ。まずひとりめが
元気っ子な女の子で名前はアミューさんといって、オイラ達と同じくらいの
年齢かな?ポニーテールが似合う娘さんだよ♪」
元気っ子でポニーテール!?
「次に獣人娘のココちゃん。この子年齢はオイラ達の半分くらいかな?
このココちゃん、とにかく可愛いんでゲスよ!」
獣人娘で可愛い子!?
井上の問いに対し、鈍山が蒼井の仲間情報を淡々と答えていくと、
その度に井上が目を見開いては驚くを繰り返している。
「へぇ、同年齢の元気な女の子と可愛い獣人の子か。これは確かに
鈍山君の言う様に、愛野さんへ知れたらひと悶着ありそうだね...」
全く、罪作りな事をしてくれる男の子だよね、蒼井君ってば。
でも獣人か...
「ねぇ、鈍山君。その獣人の子ってさ、私達のイメージ通りの姿を
しているの?」
井上はそう述べると頭に両手を持っていき、手のひらをチョンチョンと
動かして耳の仕草を見せる。
「うん、そうだよ。オイラ達のイメージ通りに、頭にはピョコピョコなお耳、
お尻にはフリフリな尻尾があって...それがまさにモフモフなんでゲスよっ!」
井上の問いに対し、鈍山が興奮口調で鼻息を荒くしながら、身振り手振りを
付け加え、ココの特徴であるモフモフな耳と尻尾を熱く語っていく。
「ごくり...」
モ、モフモフ......
い、いいなぁ~!私も触りたい!!ギュッとしたい~っ!!!
「しかもだよ、井上さん!そんな子が鈍山お兄ちゃんって、呼んでくれるんで
ゲスよぉ!その言葉にオイラ達みんな、完全ノックアウトだったよ~♪」
「ああ!マジでズッコイぞ、あなた達だけ!わ、私だってお姉ちゃんって
呼ばれたいぃぃ~っ!!」
天にも昇る気持ちだったと言わんばかりに、興奮と恍惚の入り混じった表情を
見せる鈍山に、井上が人差し指をビシッと突き出すと、羨ましいと叫声を上げて
訴える。
「......ん?い、今、確かみんなって...言ったよね?それって...もしかして、
達也も...そうなのっ?」
さっきまで羨望だった井上の表情がドンドン神妙な面持ちに変わっていき、
鈍山をジロリと睨む。
「ハヒィッ!?そそ、そうでゲスよ!磯下君も最初はそんなに興味はなさそう
だったんだけどね、最後の方はココちゃんにデレデレだったです!」
刺す様な眼光で睨んでくる井上に、鈍山が目を丸くして慌てふためくと、
磯下のあの時の状況を包み隠さずに、全て井上へと伝えるのだった。




