402話・蒼井の仲間は...
「コホン...と、とにかくその時がきたら、私が的確な手解きをして
あげるから心配しないでいいからね!うふふ♪」
井上は軽い咳払いを吐くと、屈託のない笑顔を鈍山に向けて両の指を
ワキワキと動かしている。
「な、なんでゲスか?あのイキイキとした表情と動きで述べる、
その意味のわからないアドバイスは!?」
い、井上さんが何を言いたいのか、全く以て理解が不能でゲスが、
井上さんのアドバイスは絶対に参考にしてはいけない...そんな気がする!
空を見上げ、再びニヤニヤと何かの妄想を抱いている井上の姿を見て
鈍山が弱冠...いやかなりドン引きながら心にそう誓うのだった。
でもそうでゲスか、愛野さんが蒼井君の事をねぇ...。
「これはもし蒼井君の仲間と愛野さんが出会ったら、ひと悶着が
ありそうでゲスね!」
「ん、仲間?もしかして蒼井君に仲間がいるの?」
苦笑をこぼし困惑の表情を見せている鈍山に、妄想から帰ってきた井上が
ハテナ顔で問う。
「そうなんでゲスよ。蒼井君にはこっちの世界で仲間になっ――」
「ははぁ~ん!わかったわっ!さてはその仲間の中のひとりに蒼井君が
気になっている子がいる......そういう事ねっ!!」
鈍山の言葉を遮り、井上が人差し指をビシッと突きつけると、自分の導き出した
答えを口にする。
そっか、そっか...こんな世界にひとり寂しく降り立った所で出会った仲間。
その仲間と支え合い艱難辛苦を共に...か。
「それで、その子は可愛い子ちゃん?それともマッチョさん?」
「可愛い子ちゃんはわかるでゲスが、何そのマッチョさんって!?」
「だからさ、その蒼井君が意識している子がムキムキのマッチョなの
かなって♪」
「何でだよ!そんな訳あるかでゲスッ!」
屈託のないワクワクな笑顔で言い放つ井上の言葉に、鈍山が目を
見開いて喫驚する。
「それじゃ、細マッチョ?」
「だから、そのマッチョから離れるでゲスよ!」
ホント、さっきの意味不明な言葉といい、今の言葉といい、この人の
思考が全くわからんでゲス!
「それじゃ、渋いおじ――」
「はあ...言っておくでゲスが、蒼井君の仲間は全員女性だからね!」
「ゲフッ!?」
な、なんだと...仲間が全員、女性だと!?
鈍山から告げられた言葉に聞いて、井上が驚愕して後退っていく。
「ま、まさか全員女性とは蒼井君の奴も中々やるね。愛しの愛野さんや
鈍山君を放っておいて、いちゃいちゃハーレムを作っていたなんてさ!」
しばらく衝撃事実に驚いていた井上だったが、その驚きが落ち着いてくると、
視線を遠くの方に向け、ニヒルな表情を浮かべながら蒼井の事を賞賛する。




