377話・お父さんですか!
「では、御主人様。今からココ様に許可を貰いに行って参ります!」
ロキが蒼井にビシッと敬礼すると、ココがいる方向に身体を向ける。
「ちょっと待って。行く前にさ、ひとつ聞いていいかい?もし、ココから
許可を貰えたら、キミも僕達の旅についてくるつもりなのかい?」
「勿論ですよ、御主人様!俺はココ様の攻や防となりて、様々な外敵から
ココ様の身をお守りしなければいけませんので!」
突如蒼井から呼び止めて、ココから許可を貰った後の事を訊ねると、
ロキが真剣な表情をして、その問いに答えを返えしてくる。
「そ、そうか...その意気込みは買うけど、まずはココから許可を得てから
した方がいいと思うよ。もし許可をもらえなかったら、ショックが
大きいだろう?」
「は!?そ、それもそうですね!では、ココ様から許可が貰える様、
頑張ってきますね!」
蒼井の忠告にロキが、感謝で頭を深々と下げると、急ぎココからの
従者になる許可を貰うべく、ココのいる場所へ身体を向ける。
「あ。ちょっと待って、ロキ君!ココの所に行く前に、キミに
もうひとつ言っておきたい事があるんだ!」
僕はロキ君に伝えなければいけない、とても大事な事を思い出し、
再びロキ君を呼びとめる。
「俺に言っておきたい事?」
「うむ!ロキ君、キミに―――」
「あ。御主人様。俺の名を呼ぶ時に、君づけは必要ありません!
これからは俺の事を呼ぶ時は、ロキと呼び捨てになさって下さい!」
自分の事を君づけで呼んでくる蒼井に、自分の名前を呼ぶ時は
呼び捨てでお願いしますと、ロキが嘆願してくる。
「そっか、わかったよ。では...改めて、コホン。ロキ、キミに
言っておきたい事がある......」
僕はロキの顔をジッと見据えながら、ゆっくり近づいていき......
「ココとお付き合いする事は、お父さん絶対に許しませんから♪
もし、キミがこの禁を破る様な事があったら「即!殺!!」だから...
いいね♪」
そしてロキの肩の上に右手をポンと乗せると、威圧をタップリと
込めた満面な笑みを浮かべて、ロキに忠告する。
「も、勿論、それは重々わかっております!で、ですからどうか
ご安心を!」
威圧を乗せた笑みで述べる蒼井の忠告に、ロキは目を丸くして喫驚し、
何度も何度も首を縦に振り続けて了承する。
「うむ。わかればよろしい。この事、夢々忘れる事なかれ...だよ♪」
「はいっ!心の底から肝に命じておきます!で、では今度こそ、ココ様に
許可をいただきに参りますっ!!」
蒼井からもう一度受ける忠告に、ロキが震える手で再度ビシッと敬礼すると、
背中に威圧感を受けつつ、急ぎ慌ててココの元へダッシュで駆けていく。
『はは...主様は本当にココさんの事になると暴走気味ですね......』
「当然さ!なぜなら、ココは可愛い従者で、僕はその主人なんだから!」
『主人っていうよりかは、完全にお父さん目線になっていますけどね......』
ココの事でドヤ顔をして鼻息をフンッと吐く蒼井に「本当、親バカなんだから...」
と、思わずナヒは苦笑が洩れてしまう。




