37話・ゴブリン、ウザいなぁぁ!
「ぐしゃああぁぁあ―――――っ!?」
「ふう...これで、ゴブリン討伐数は残り1匹だね♪」
「うん...僕は何もしてないんだけどね...」
はは...アミューが、あっちでゴブリンを見つけてはグサッ!
こっちで見つけては、ザクッって感じで気づけば、残り数が1匹になって
いたよ...。
僕のクエストなんだから、最後の一匹くらいは何とか、僕が倒したい所だし...
しょうがない、これを使うかな...。
僕は右手の指に装備されているメイーナ特製装備の1つ、『ルビーの指輪』の上に
左手の人差し指をそっと置いた。
この指輪には索敵する能力があって、僕の近くに人物系がいるとそれに反応して
教えてくれるのだ。
ただし、索敵をする度にMPを消費してしまうので、このルビーの指輪には
自動と手動の切り替えがついている。
「まぁ...取り敢えず、MPがなくなる直前まで頑張って使ってみるか...。
最悪、メイーナから貰った回復系のアイテムを使えば済む事だし...では、
ポチッとっ!」
僕はそう心の中で決意すると、置いた人差し指をちょんと押した。
『索敵開始...ピピ...ピピ...東の方角500メートル先に...人型魔物を発見...
その数、およそ...5匹...』
うわ、1匹でいいのに5匹もいるのか...それにここからまぁまぁ遠いな...。
少し走って行くか...!
「アミュー!僕はこっちの方を探すから、ここは任せたよ!」
「あっちの方に...了解、わかったよ!」
僕はアミューにそう告げて索敵したゴブリンのいる場所へと走って行くと、
再びルビーの指輪が反応する。
『ピピ...ピピ...西の方角に...20メートル先に子ども(獣人)を発見...その数、
およそ...1人』
「子ども?こんな森の中を子どもが1人で...?」
これは流石に放って置けないよね...仕方がない、ゴブリンは後回しにするか!
「確か...指輪の反応はここら辺だったような...?」
反応があった場所に辿り着いた僕は、周りをくまなく探してみるが、その目線に
子どもの姿らしき人物は入ってこなかった。
「おっかしいなぁ...どこを見てもいないじゃないか?まさか、指輪のミス反応
じゃ――」
「ハァ...ハァ...ハァ...ゴフ...ゴフ...だ...れか...」
この声は...子どもの声か...?じゃ、これがさっき索敵した子どもだな!
しかし、かなり状況が危機っぽいぞ!?どこだ...どこにいるんだ......!?
「あっ!そうか、もう一度こいつを使えばいいじゃないか...っ!?」
僕は大急ぎで自動から、手動に切り替えて、ルビーの指輪を起動させる!
『索敵開始...ピピ...北の方角に人型魔物を発見...その――』
だあぁぁぁ―――――っ!ゴブリン、ウザいなぁぁ!早く終れ!
『西の方角5メートル先に...子ども(獣人)を発見...その数、およそ...1人』
よし!ここより西に5メートルだな!
僕はルビーの指輪の示した場所に猛ダッシュで駆けて行く!
「5メートルといえば、これくらいの距離だよな...」
さっきの場所から5メートルくらい進んだ場所で僕は再び、周りを見渡し
獣人の子どもを探す。




