364話・急いでココちゃんを止めなさいなっ!
「そ、そんな...狼族でさぇ、今は殆ど扱える者がいないとされる
獣神化に...コ、ココが......」
「.........ふん、下らない事をブツブツとっ!」
ココがそう呟くとロキの目の前からスッと姿を消える!
「なっ!?コ、ココの姿が消えたっ!?」
突如目の前から姿を消したココにロキが驚き、戸惑いで動揺しながらも
「どこにいったんだ!?」と周囲をキョロキョロ見渡していると...
「.........くふふ、どこを見ている?アタシはここだよっ!」
後ろから誰かが声をかけてきて、ロキの肩を手でポンポンと叩く。
「そ、その声はココッ!?い、いつの間に俺の後ろへ移―――ガハァッ!」
「.........ボケッとし過ぎだ、ロキ少年っ!」
その声の主がココだと気づいたロキが、目を見開いて驚き、慌てて目線を
後ろへと向けた瞬間...ロキのみぞうち深くにココの回し蹴りが炸裂し、
その蹴られた反動で遠くへとロキがぶっ飛んで行く!
「.........おっと油断するなよ、ロキ少年。アタシのターンはまだまだ
終わっていないぞぉぉっ!」
ココが口角を上げてニヤリと微笑むと、ぶっ飛ばされたロキを追撃の
攻撃するべく、空中を放たれた矢の様に猛スピードで飛んで行く!
「......くふふふ、追いついたっとっ♪」
「う、嘘だろ...ぶっ飛ばされた相手に追いつくだなんて......」
「.........いくぞぉぉ!ハンマーパンチを食らえぇぇぇいっ!」
「そんなの...そんな馬鹿な事があってたま――――グハガァッ!!」
ぶっ飛ばされた自分に余裕の笑みで追いつくココに、ロキが驚愕していると、
その隙を狙ってココがハンマーパンチで思いっきりロキを叩き殴る!
そしてココに叩き殴られ、くの字に曲がったロキは、スゴいスピードで
地面へと落下して身体中を強く強打する!
「こ、ここまで...なのか...ここまで獣神化相手には...手も...足も出せない...
のか......ガクッ!」
さっきまでブルブル怯えていた人物とは思えない圧倒的なオーラに、
ロキが恐れを抱きながらゆっくり両目が閉じていき、そしてその場に
バタンッと倒れ込んで気絶する。
「おおっ!まさかココが獣神化を発動させるだなんて...流石は僕の
ココさんだぜっ!」
しかし、獣神化したサァジュさんはフワフワって感じのモフモフだったけど、
ココの獣神化はサラサラって感じのモフモフだな。
これは後からタップリ、あのサラサラのモフモフを堪能させてもらわねば
いけないようですなっ!
うふふふ......
『そんな悠長にほくそ笑んでいる場合じゃありませんよ、主様!
急いでココちゃんを止めなさいっ!』
「ほえ!ど、どうしたの、ナヒ?そんな緊張感な叫声をあげて??
とめるも何も、もう決着はついたじゃない.........かぁぁっ!?」
ナヒの切羽詰まった声に!「何を言ってんの?」と思いながらココの方に
目をやると、そこには今まさにロキにとどめを刺さんとしているココの姿が
映るのだった。




