360話・ボクの闘い...見ててねっ!
「確かにロキ君の言うように、ボクは闘いが好きじゃない...」
でもね...
「お兄ちゃんがキミをあの子達を助けたいって言っている。
そして、ボクもそうだ!」
ココが真面目な表情と瞳でロキの顔をジッと見据えて...
だから怖いけど、頑張ってロキ君を助けるから...
「お兄ちゃん、ボクの闘い...見ててねっ!」
そして内なる勇気を振り絞り気合いを入れると、腰をスッと落とし
手を地面に静かにつけ、ロキに目線を向けて戦闘体勢に入る。
「その体勢は猫族の戦闘スタイル!どうやら、俺の言葉を聞き入れて
本気で相手をしてくれるようだな!じゃ、これ以上は四の五のは無しで
行くぞ、ココォォオォォッ!」
ココの戦闘体勢にロキがニヤリと口角をあげると、大地を蹴りあげ、
空を舞う様に突進する!
『切り刻め!スピンクロォォォォッ!おりゃぁぁぁぁっ!!』
そしてロキが攻撃射程範囲内まで突進すると、両手の爪をバッと左右に
広げてギフト技...スピンクローを発動させ、身体をグルグルと猛スピードで
回転させながらココに突撃してくる!
『大いなる風の調べよ!その恩恵なる力で我が身を包み、守りたまえ!
ウインド・ウォォォォォルッ!』
ロキのスピンクローによる回転攻撃でココの身体が切り刻まれそうに
なった瞬間、ココが間を入れず、風防御魔法...ウインド・ウォールを詠唱し、
風の防御壁を自分の周囲に作りってロキの攻撃を未然に防ぐ!
「あの壁って、魔法だよね!?ココの奴、いつの間に魔法を覚えたんだ!?」
「あれ、シュン知らなかったの?新たなギフトや魔法を自力取得が殆どできない
人族と違って、獣人...亜人と呼ばれる種族は新たなるギフトや魔法を自力で
覚える事ができるんだよ?」
ココが魔法を使った事に目を丸くしてビックリしていた蒼井へ、アミューが
何故ココが魔法を使えるのかを、詳しく説明する。
「へぇ...そうなんだ。いいなぁ、ココ。僕なんてひとつもギフトを習得して
いないっていうのに...」
アミューの説明を聞いて、メイーナのマジックアイテム頼りな僕は...
「ココめ、何て羨ましい!」
...と羨望してしまうのだった。
「あははっはっ!やるな、ココ。まさか防御魔法を取得していただなんて!
でも...そんな壁、何度でも切り刻んでいけばぁぁぁ!ハァァァァッ!」
「うぐぐ...か、風の障壁がドンドン崩れて......」
ロキの執拗な連続攻撃に、ココの魔法障壁に耐えられず、少しずつ亀裂が
入っていく...
『こいつでとどめだぁぁ、ココォォォッ!燃えあがれ、俺の拳ぃぃぃっ!
ファイヤァァァガトリングゥゥゥゥッ!!』
ロキがとどめとギフト技...ファイヤーガトリングを発動させると、
両の拳が轟音唸る炎で燃え上がり、その轟音唸る炎のこもった拳の
連続攻撃で魔法障壁を次々と砕いていく!
「もう、これ以上は持たない.........キャァァァ―――ッ!!」
ロキの気合いのこもったファイヤーガトリングを食らい続けた結果、
ココの作った魔法障壁がバキンッと音を立てると、砕けて弾け飛ぶ!
「油断だぞ、ココ!俺の攻撃はまだ終わってないぞぉぉぉぉっ!
ウリャリャリャリャァァァァ―――――ッ!!」
ロキのファイヤーガトリングはまだ勢いを止める事なく、ココの身体を
無数に叩き殴って行く!
至る箇所から響く骨が軋む音...至る箇所から飛び散る閃血...
そして声にならない叫声を上げて、ココが地面を数回バウンドしながら
吹っ飛んで行くのだった!




