343話・魅了のチョーカー
「やれやれ...相変わらず、ココちゃんに激甘だよね?」
「はは...当たり前だろ!それに...」
呆れ口調をこぼして、ジト目で見てくるアミューに、僕が
「そういうアミューもだろ?」と返すと、アミューがドヤ顔で
「当然!」と発して返す。
「そ、それじゃ、シュン君。私の頼みを聞いてくれるんだね!
ありがとー♪」
僕の返事を聞いてニーズが、表情をパッと明るくして僕の手を取って
ブンブン振って感謝の言葉を口にする。
「気が早いって、キミの頼みを聞くか聞かないかは、キミの述べる
内容次第だからね!」
僕の両手をブンブン振っているニーズに、真面目な表情でそう述べて
一応の忠告をしておく。
「うん、わかった!それじゃ、早速話すから聞いてね!シュン君に
頼みたいってのは、私達の王じ―――はぐ!?」
ニーズが蒼井に頼み事を口にしようとした瞬間、突如ニーズの首へ
黒い首輪らしき物が飛んできて装着される!
「え、何!?そ、その黒い首輪みたいなも――うぐ!?」
「お、お姉ちゃん!だ、大丈夫――――キャン!?」
ニーズの首に装着された首輪に、ルビが何事と目を見開いていると、
自分の首にもその黒い首輪が装着され...
それに驚いたココがルビに近づこうとした瞬間、ココの首にも
黒い首輪が飛んできて装着された!
「ちょっと何なの!その黒い首輪!?大丈夫、ルビさん!ココちゃん!」
「こ、この首輪は...魅了のチョーカー!?という事は!」
自分の首やルビ達の首に装着された黒い首輪にニーズが気づき、
その首輪が飛んできた方向へと顔を向ける。
「うひゃひゃひゃ...。やっと、このチャンスが巡ってきたぜぇっ!」
「やっぱり、ズズーンちゃん!キミだったかっ!」
ニーズが顔を向けた方向には予想通りの人物...ズズーンが立っており、
まさにしてやったりという表情で、ズズーンが下卑た笑いをあげていた。
「くくく...そのチョーカー、良く似合ってじゃねぇか、ニーズ♪
どうだ?俺から魅了のチョーカーを付けられた気分は?」
「ふん!いいわけないじゃん!でもどういう事なの?何故、私にこの
魅了のチョーカーが装着されちゃうのよ!?」
ニーズが首に装着された魅了のチョーカーをクイクイと引っ張りながら、
納得がいかないという顔をしている。
「その魅了のチョーカーは確かに貴様みたいな強者には通じぬ。
だが、HPが3分の1まで減少した時は別なのさ!」
「く...そっか。どんな強者も体力が減少していたら、その能力値も
通常人の能力並に落ちてくる...そこを狙った効果ってわけか!」
ズズーンの語る魅了のチョーカーの隠し効果を聞いて、小賢しいと
思いつつも、取り敢えずの納得をする。
「まぁ、そういう事だ!まさかニーズの体力をここまで落ちして
くれるとはな!小僧!貴様には一応の賛辞を送ってやるぞ!」
ズズーンが貴族特有の人を見下した口調で、蒼井に口だけの感謝を
述べてくる。




