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315話・モフモフの権利


「おお!これは見事で素晴らしい毛並みだ...モフモフモフ♪」


「はわわ!うにゃなな!ふにゃにゃにゃぁぁぁっ!?」


蒼井からモフモフされる度に、サァジュは戸惑いと困惑、そして恍惚の

入り混じった様な声を上げてしまう。


「こら!シュン!いくらモフりたいからって、不意打ちは駄目でしょう!」


サァジュの尻尾をスリスリしている蒼井に、アミューが激おこの表情で

変態行為をやめろと、注意を促してくる。


「ええ...だって今はまだ決闘中なんだぞ。油断したサァジュさんが悪いんで

あって、このモフモフは油断を勝ち取った僕への当然の権利だと思うんだが!」


「うう...た、確かに...はう!?お、お前に背を向けた...はにゃ!...おひゃぁ、

オ、オレが悪い...うにゃにゃにゃっ!?」


アミューと言い合っている蒼井に、強がりな虚勢を吐いてくるサァジュ

だったが、その間も蒼井からのモフモフ攻撃が絶えず続けられ...


「こ、これは確...うひゃん!?かに...そ、そこの小娘の言う様に...

ひゃにゃ!ガキんちょの...モ、モフモフ...は、いいものだ....な......ガクッ!


そしてとうとう蒼井のモフりの前に、サァジュは力尽き、倒れてしまった。


「しょ、勝者!シュン・アオイッ!シュン・アオイですっ!」


ルビが高らかに蒼井の勝利を宣言をすると、急ぎ、蒼井の両手をサァジュの

尻尾や耳から強引に引き放した。


「ええぇぇ、もう終わりなの!?やっと、サァジュさんへのモフりタイムが

始まったばかりだっていうのにさ!」


もう少しだけサァジュさんの耳や尻尾をモフモフしたかった僕は、決闘が

終了した事を残念無念と表すかの様に、指をワキワキさせて悔しがる。


「はいはい。気持ちはわかりますけど、そこは我慢して下さいね、シュン様。

それにサァジュはあんまり、モフられ慣れしていないんです。だからそれ以上は

やめてやって下さいね!」


「はは、ですね。サァジュ様は、普段は耳や尻尾は隠して、人族の格好で

暮らしていらっしゃいますから...」


ルビとロナミが闘技場の地面へ転がって、困惑と高揚感の入り混じった表情の

サァジュを見て、苦笑している。


「さて...それじゃ、決闘も終わった事ですし...ロナミさん、私達の盗賊討伐の

受理や、素材の買い取りを行ってもらえますか?」


「ハッ!了解です、ルビ様!ただいま、その準備にかからせてもらいますっ!」


にこやかな微笑みでルビがそう頼むと、ロナミがキレイな敬礼をビシッと

決めて了諾するのだった。


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