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312話・どこへ逃げても...


「おっととっ!?」


「のわわっとっ!?」


「ひぃぃいやぁぁぁっ!?」


「クソゥ...こ、このスピードでも駄目なのか!?」


サァジュがギフト技、超・加速を発動させて、右往左往と素早く

逃げ回るが、どこに逃げても蒼井が直ぐ後ろについて回る。


「ふふふ...さぁ、観念してその耳を、その尻尾をモフモフさせて

下さいな♪」


僕は追い詰めたサァジュさんの耳や尻尾をモフる為、ジワリジワリと

近づいて行く。


「もう、サァジュ様!ここは素直に諦めて、この際、少年にモフらせて

やったらいいんじゃないですか?」


「い、嫌だ!絶対に嫌だ!何かこいつには意地でもモフらせたくねぇっ!」


ロミナの言葉に、サァジュがガルルと聞こえてきそうな口調で蒼井の

モフモフを拒否...いや、拒絶してくる。


「そ、そんな!?僕の...僕の一体なにがいけないんですかっ!」


そんなサァジュさんの拒絶を受けても尚、僕は納得いかないと

食い下がる様に駄々をこねる。


「態度だよ、その態度!それがオレの嫌悪感、全開なんだよっ!」


「ええぇぇぇぇぇぇっ!」


「そんな顔をしても駄目だ!それと、その指をワキワキするのをやめろっ!」


自分と会話しながらも尚、指をワキワキさせ、隙あらばモフってこようと

する蒼井に...


「そ、それより、決闘の続きをするぞ!決闘の!」


...と、軽く窘めて、蒼井から慌てて距離を取る。


「くう...そこまでモフりを拒否されてしまうとは...うう!」


しかし、まだ諦めていませんよ。


「そう...決闘が続く限りはね......ふふふ♪」


『主様...その言動と笑い方、思いっきり、ド変態っぽいですよ...』


蒼井の未だに諦めないモフモフ愛に、ナヒが心底呆れてしまう。



その頃......



ザワザワ...ガヤガヤ...


「な、なんやろか、あん黒だかりは?」


「取り敢えず~そこの人にこれが何なのか~聞いてみようよ~!」


ザワザワと集まっている、ザッカの住人達に気づいたマーガレットと緑川が、

その騒ぎの中へと近づいて行く。


「なぁ、そこのおじさん。みんな騒がしかばってん、何かあったタト?」


マーガレットが近くの住人の肩をポンと叩き、この騒ぎは何なのかと

訊ねてみる。


「ん、この騒ぎの元か?何でもな、ここで貴族の専属傭兵が獣人の娘に

ボコボコにされたらしくてな!」


「じゅ、獣人の娘...」


「そん獣人娘って、もしかしてココちゃんじゃなかと!


「それでおじさん、その獣人の娘さんが~どこに行ったか~

わかりますか~?」


「スマンがそれはわからん。だが、俺の聞いた話によれば、あの向こうの

方角へ、物凄い速さで駆けて行ったとの事らしいぞ!」


「向こうの方角...」


おじさんが人差し指を向けた方角に、マーガレットと緑川が目線を向ける。


「あ、それから、もしその獣人娘を追うんだったら、近衛兵達に気をつけろよ。

今あの連中が躍起になって、その獣人娘を探していたからな!」


「近衛兵がココちゃんを...。おじさん、良い情報をありがとな。とっても、

助かったバイッ!」


マーガレットが情報をくれた住人に一礼すると、その場を緑川と離れる。


「そ、そいでどげんしようか、緑っちぃぃ!こいは緊急事態バイッ!」


「うん...。ま、まさか~近衛兵が動いているだなんて~。これは大変な事態に

ココちゃんってば~巻き込まれてちゃったみたいだね~!」


「と、とにかく、おじさんの情報じゃ、ココちゃんはあっちに行ったごたんけん、

私達も急いで、後を追っていくバイッ!」


マーガレットと緑川が顔を見合せ、困惑と深刻の入り混じった表情でココの安否を

気にすると、急ぎココの後を追いかけるのだった。


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