31話・色々な質問に答えます
それから、次々とクラスメイト達がクリス王女に質問をしていく...。
この城での自分の行動範囲の事、ギフトをどうやって判明させるのか、
魔法は存在するのか、この世界を救う事に見返りがあるのか、いつか
チキュウに帰る事ができるのか、この世界の情報と魔王の勢力の事、
そして、奴隷制度があるのか、結婚制度が一夫多妻、または
一妻多夫なのか、メイド、または執事はいるのか、
...等々、
真面目な質問もあれば、下らない質問もあったが、クリス王女は
気さくに全ての質問に答えてくれた。
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「なるほど...嫌な命令は聞く必要がないのか...」
「はい、それが勇者様達に与えられる特権の1つです。ただし、
魔王討伐系の令を拒否するのは、例外ですけれども...」
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「ギフト判定する場所があるんだ、じゃあ...この世界の人々も
ギフトを持ってるって事なんだ...?」
「ええ...持っています。しかし、勇者様達が貰ったギフトは特別な
ギフトで、ステータス欄には『女神のギフト』と記載されます」
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「魔法ですか?そうでしたね...勇者様達の世界にはないんでしたね、
勇者様達の質問の答えは、はいです。この世界には魔法は存在します」
「魔法って、やっぱりあるんだ!私の世界にはない甘美な存在...魔法。
嗚呼!早く覚えたい!」
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「魔王を討伐できれば、一生遊んで暮らせるのか...」
「はい、魔王討伐の暁には、この私の名を以てそれは約束します!」
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「そっか...この城ではチキュウに帰る方法はわからないけど帰る
方法はあるんだ...良かった...」
「すいません、勇者様...私達もあるとしか、知らないものでして...」
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「この世界の三分の一が魔王軍...魔族の領地か...」
「残念ですが、魔王軍の強さはとてつもなく、今現在もどんどん
この世界の人族や異人種の領地を侵略されている現状でして...」
「奴隷ですか...?確かに、奴隷制度はこの世界に存在します。ただし、
奴隷を買うには相当な条件がありまして、それをクリアしないと買う事は
できません。まぁ、勇者様ならその条件の難題は金額だけですが...」
「なるほど...奴隷がひどい事にならない様、条件が厳しめなんですね...?」
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「勇者様の世界は一夫一妻でしたね。このアーチでは一夫多妻、
一妻多夫ですので、ハーレムは可能ですよ...。それに勇者様を慕う
女性は多いですから...」
「そっか...一夫多妻なのか...ふふ...やれる...やれるじゃん!
夢のハーレムが!ヤッフゥゥッ!!」
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「はい、勇者様一人、一人に二人のメイドか執事をお世話として
つけさせて貰います」
「うふふ...そっかそっか...。執事かメイド...それぞれが二名か...。
攻めタイプの執事、受けタイプの執事...これを選ぶっきゃないっしょ!
はあぁ~!妄想が膨らむわ~!」
「ちょ、井上さん!その質問をしたのは私なのに何故、あなたが歓喜を
あげているのよ!」
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クラスメイト達が質問した、それぞれの答えをクリス王女から聞くと、
納得、戸惑い、歓喜、希望、色々な表情をしているが、絶望な表情を
している者は一人もいなかった事に、クリス王女はホッと安堵する。
「...て、それより磯下!あんた、さっき言おうとした質問って、
やっぱりH全開だったじゃんか!」
「うっせい!ハーレムは男のロマンなんだよ!それにそっちだって、
BL全開じゃねえか!」
「へ~んだ!別にこの質問は私がした訳じゃありませんよ~だ!」
「グヌヌ...」
「ムムム...」
磯下の目と井上の目から、火花をバチバチさせて、睨み合いをしている。
「ねね...愛野さん、ねえ...愛野さんてばぁ!」
「え...あ...遠藤さんじゃありませんか...一体どうしたんです?」
「ほら...クリス王女に何か質問しなくてもいいの?後、聞いていないのって
愛野さんくらいだよ?」
「クリス王女に質問...ですか...?そうですね...私が聞きたい事は...」
今にも倒れそうなくらいの顔面蒼白な愛野が、ふら~っと立ち上がって
クリス王女元へ近づいて行く。
「あ、あの~クリス王女様、私...愛野優希って言います...」
「愛野優希様ですね...それで、私に何か聞きたい質問がありますか?」
「はい...私が聞きたい事は、ただ1つ...」
さっきまで顔面蒼白だった表情が打って代わり、真面目な表情になり、
ひと呼吸し...クリス王女にこう質問をする...。
「ギフトを受け取らなかった勇者の行方は...どうやって探したらいいのか!」
...と、言う質問をクリス王女に愛野は投げ掛けた。




