302話・イチャイチャできる!?
「あなたの持っている、あのロストアイテムの古代魔法の書を頂く...
どうです?この条件、お受けしますか?」
「ああ、あのロストアイテムか。別にいいぜ、確かにあれを賭ける
くらいの価値は十分にあるってもんだしな!」
ロストアイテム...古代魔法の書。これを対価に交渉するルビに対し、
サァジュがその対価いいと快く同意した。
「なにが賭ける価値ですか」
どうせ、楽勝だから賭ける気になっただけの癖に、これだから脳筋の人は...。
「ん?何か言ったか、ロナミ?」
「はひぃっ!?言いました!サ、サァジュ様、頑張って勝って下さいって!」
聞こえないくらいのか細い声で言ったにも関わらず、その声にサァジュが
反応した事にビックリ仰天なロミナが、慌てて誤魔化しのサァジュの応援を
口にする。
「お、そうか。まぁお前に取っても、これはいい話だものな♪もしオレが
勝ったら、お前の憧れのルビが先輩になる事だしな!」
「はう!?ルビ様が私の先輩に!?」
キャアァァァァァァァァ―――――ッ!!!
そっか!サァジュ様があの少年に勝ったら、私の憧れの人、ルビ様が
このギルドにやって来るって事だよねぇぇぇえっ!!
うほ!もしそうなったら、毎日毎日、ルビ様から手取り足取りと色々学びつつ、
ル沢山イチャイチャもできちゃうって事!
デヘヘへへ...何、その天国のような環境は!?
嬉し過ぎて、本当に天国にいっちゃいそうなんですけど!
「よし!」
こ、ここはしっかり、サァジュ様を勝利に導く為に応援しなければ!
だから、あの少年と戦うその前に......
「サァジュ様。その少年には気をつけて下さいね、その少年、意外に
手強いですので!」
「はは♪そうだな。弱者とはいえ、油断は禁物だよな!」
「だから、本当に手強いんですって!」
冗談の類いと思って全くロナミの忠告を聞かないサァジュに、ロナミが
再度注意を促す。
「ハイハイ。油断大敵にならん様にするって!」
「だから~~~!!」
くそ、駄目だ!このギルマス。私の話を全く聞きやしない。
「あの少年の実力って、絶対ルビ様くらいあるっているっていうのに、
あんな油断じゃ、いくらサァジュ様がSランクとはいえ、あっさりと
やられちゃうわ!」
そうなったら、せっかくの私とルビ様のイチャイチャタイムが水の泡に
なっちゃうじゃん!
「こうなったら、あの少年の邪魔を―――ハッ!?」
『因みに殺気で今の白い雷、敵意で光の鎖がその身を締め上げるから
気をつけてね♪』
『もしその敵意が一瞬でも殺意に変わったら、即座に締め切られるから、
それも十分気注意してね♪』
あ、あぶねぇぇぇぇぇ――――――ッ!
ルビ様の事に思考が持っていかれ過ぎて、さっきの悲劇をスッカリ忘ていたわっ!
ロナミはふとスカートへ目線がいくと、先程の自分に起きた悲劇を走馬灯の如く
思い出し、顔中に大量の冷や汗を掻くのだった。




