298話・状況の説明を求む
「コホン!会いたかった人物に会えた気持ちはわかるけどよ、
そろそろ、この状況の説明をお願いしてもいいか?」
「へ...!?」
サァジュがロナミにこの現状の説明を求めると、ロナミの顔色が
変わり、ヤバいヤバいと両の目を白黒させてオロオロとしている。
「どうした、ロナミ?ルビ達と何かあったから、この惨劇なんだろ?
こいつを疑いはたくないが、一応どうしてこうなったかの理由を
知りたいからな!...で、何故こうなった?」
「ひゃい!そそ、それはその......ですね......あああの......
ですね!......つまりが......」
サァジュがロナミに近づき、ジィィーッと睨むようにもう一度、
この現状はどういう事だと説明を求めてくる。
その威圧感タップリのサァジュの顔に、ロナミの顔から色がドンドン
抜け落ちていき、動揺と言いたくない気持ちが入り混じったロナミは、
口が震えて言葉が上手く出てこない。
「どうした、ロナミ?何か挙動不審が凄いぞ?そんなにこの状況は
説明がしにくいのか?」
「い、いいえ...!?そそ、そうじゃないん...です...がっ!」
「ったく...埒が開かないな。おい、ルビ!お前が説明してくれ!」
いつまでたっても状況を説明しないロミナに業を煮やしたサァジュが、
ロナミの代わりにルビに、今のこの状況の説明を求める。
「あら、当事者の私が説明をしても宜しいのですか?もしかしたら、
私...虚・言・!を、言うかもしれませんよ♪どうやらそういう癖がある
らしいので?」
「はぎゃうっ!!?」
ルビがサァジュにそう述べた後、ニヤリと口角を上げて自分に抱きついている
ロナミの顔を見る。
「何だ?ヤケに強調した感じに聞こえたけど、お前虚言癖でもあるのか?」
そんなルビの態度を不思議に思ったサァジュが、ハテナ顔をして
首を傾げる。
「あっははは!お前に限ってそれはないか!何せお前ったら、貴族騎士に
襲われようが、雇い入れた暗殺者に狙われようが、それを全て返り討ちにして、
悪徳貴族の悪行三昧を世間へと津々浦々なく、全部発表していたもんな!」
「き、聞いた事がある。少し前に大量の貴族が御家お取り潰しになったと言う
案件だよね?あれって、ルビさんの仕業だったんだね......」
「まぁ、そういうお前だ。だから嘘偽りなしに、今の経緯を伝えてくれる
だろうしな?そうだろ、ルビ?」
昔語りを述べた後、サァジュがルビに向かってウインクをするのだった。