296話・受付嬢の反省?
「............」
う~ん......
「ルビさん達に言われていた結果じゃないけども、これで十分に報復は
できただろう......」
周囲を見渡すと、ギルドスタッフ全員が僕に向かって身体をブルブルと
震わせながら土下座をしている姿を確認し...
そして目の前で気絶している受付嬢こと、ロナミさんの地面回りの
水溜まりを見て、少しやり過ぎたかなっと、反省のニガ笑いがこぼれる。
「ハァ...本当にシュンは激甘だよね。たかがそれくらいの反省と恥で
さっきのクソみたいな態度を許しちゃうなんて!」
自分の相手を全て粉砕したアミューが、やれやれといったポーズを取って
蒼井の甘さに呆れている。
「ですね。冒険者は舐められたら、おしまいの稼業。その女みたいな
態度を取られて引いたら、次からズット、舐められっぱなしですからね!
そこでボケッと座っている人達みたいに!」
「「「ひひぃいっぃいっ!?」」」
ルビもアミューと同じく、蒼井の罰の甘さに苦言を述べると、さっきまで
蔑み、こちらを小バカにニヤニヤしていた冒険者を睨みつける。
「さて...こいつらも同罪だしねぇ、どうしてく―――」
アミューがテーブルに屯っている冒険者へ、手を指をポキポキと鳴らして
近づこうとしたその時...
「なっ!?こ、これは一体どういう事なんだいっ!?」
出入り口の方から、困惑している誰かの大きな声が、突如ギルド内に
響き渡った!
「ん...?この声は確か、サァジ―――」
ルビがその声に反応し、振り向いた瞬間!
「ハッ!こ、この声は!ギルドマスター、サァジュ様ぁぁぁぁぁっ!
こいつら、酷いんですよぉぉおぉっ!!」
ルビよりもいち早くロナミがその声に気づき反応すると、猛ダッシュで
誰かの声...ギルマス、サァジュに駆けて行き、そして泣きついた!
「ど、どうしたんだいロナミ、そんなに血相を変えて!」
「聞いて下さいよ~ギルマスゥゥ!こいつらがギルドで大暴れをして
困っていたんですよぉぉぉ~~!!」
ロナミは状況判断ができないギルマスに、ここぞと言わんばかりの
大嘘泣きで、必死に困ったアピールをして訴える。
「何...?コイツらがオレ様の大事なギルドで、どんな不貞をやらかし
やがったの......ん?」
ロナミに泣きつかれたギルマス...サァジュが、蒼井達をジロリと睨んだ横に、
気になる人物が立っており、その人物をジぃぃッと見つめる。
「おお!やっぱりお前は、ルビッ!ルビ・エルダーじゃねぇかぁぁっ♪」
「へ...!?」
ルビを見た途端、ギルマスの目の色が屈託のない笑顔へと変わった。
「はい、久しぶりですね。サァジュさん♪」
そんなギルマス...サァジュの屈託のない笑顔に対し、ルビも同様の笑顔を
返すのだった。




