268話・魔族なんか赤子同然
「ねぇ、ナヒさん...。あ、あの人物って、どう見ても背中に翼が
生えて見えるんですけど......まさか、て、天使じゃない...よね!?」
『ハァ...何を言うかと思えば、あれが天使ですって?』
はは...だ、だよねぇ~。あれが天使なわけ―――
『どう見ても、あれは天使以外の何者でもないでしょうに...ハァ』
蒼井の言葉を聞いたナヒが、何を当たり前な事をと、呆れ気味に
嘆息を吐く。
「マジで!あれって、マジで天使さんなの!?」
うわ...良く見ると、キレイな金髪に透き通る様な肌...そして頭には
天使の輪もついてるし...
これぞまさに、ザ・天使って感じだ!
僕は上空に浮いている天使を、感動と困惑の入り混じった感情で
見ていた。
『残念ですが、ここからじゃ流石にパンツは見えませんよ、主様?』
「はあぁ!?ななな、何を言っているの、ナヒさん!ぼ、僕、天使さんの
パパパ、パンツなんて、ぜ、全然覗いてませんからねっ!」
ナヒの冷静に発する発言に図星をつかれた僕は、顔を真っ赤にして
慌てふためきながら、否定の言葉を吐いた。
『その駄々洩れの動揺で十分、証拠なんですけどね......ん?あの天使、
どうやらここに降りてくるようですね?』
「え!?」
僕はその言葉に反応して、再び上空の天使に目を向けると、凄い速さで
地上に降りてきているのが見えた。
『ふふ...降りてくるスピードが素早すぎるせいで、パンツが見えませんね。
本当、ガッカリですよね、主様♪』
「だぁぁぁぁ!もう!だから、パンツから離れてくれぇぇっ!」
しつこいくらいパンツの事を言ってくるナヒに対し、図星ながらも
軽い注意を促す。
『しかし、天使ですか...これはちと、マズイですね......』
「え?何がマズイって言うんだ、ナヒ?」
困惑な口調で述べるナヒに、少し戸惑いを見せ、俺はその理由を
聞いてみる。
『天使っていうのは実際のいる生き物じゃなく、創造神がこの世界を
混乱させる目的で作られた、戦闘生命体なんですよ!』
「へ...?そ、創造神が作った、戦闘...生命体!?」
なに、それ...!?何か、凄い言葉の連発なんですけど!?
「せ、戦闘生命体って事は、かなり強いの?あの天使さんって?」
『強いってもんじゃありませんよ。天使に比べれば、魔族なんて赤子も
同然ですから!』
魔族が赤子......か。
「...と魔族の強さと比べられても、あいつらとはメイーナのマジック
アイテムでしか戦った事ないから、実際あいつらがどれだけ凄いのか、
正直よくわかんないんだよな...」
メイーナのチートなマジックアイテムで殆ど、一方的に粉砕してきた
魔族だったので、ナヒの言う違いが、僕にはいまいち理解できなかった。




