26話・断固、邪魔をする
「ふふ...ボディーガード、本当にありがとね!まさか、ここまで早く
片が付くとは思っていなかったから...その礼も兼ねてのキスだったけど...
嫌じゃ...なかったよね?」
「も、勿論です!焼き鳥の件といい、さっきのハグといい、今のキスといい、
こっちこそ、本当にありがとうございました!」
僕はお姉さんに向けて、誰が見ても完璧な角度で一礼をする。
「アハハ...なんだい、その変な感謝は...でも素直に嬉しいねぇ♪よし...
それじゃ、今度助けてくれたら坊やの口にチュッてしてあげるよ♪」
「くくく、口に...!?」
ごく...口に...あの口と口とでチュッ...って、やつですよね...マジっすかっ!?
今度っていつ?明日...?今日...?イヤ!今すぐカモ~ン、屋台のお姉さんの
クエストォォォ―――――ッ!!
「ちち、ちょっと、何を言っているの!そんなの駄目に決まっているでしょう!
い、今の頬にキスだって、油断してなきゃ絶対させなかったのにぃぃ!
今度は口同士だなんて...この私が命をかけても断固、邪魔するんだからね!」
アミューが蒼井の目の前に人差し指を突き出し、激昂した表情でそう宣言する。
「アハハハ...!私と坊やのキスを邪魔するより、嬢ちゃんも一緒にこの坊やと
チュッて、やっちゃえばいいじゃないのさ♪」
「ぶうぅぅぅ―――――ッ!?」
突拍子もない事を言うお姉さんに、アミューが思わず吹き出してしまう。
「ハハ...初々しい反応だねぇ、お嬢ちゃん♪」
「むむ...と、とにかく、このクエストは終わったんだ!さあ、シュン!
つ、次のクエストに行くよ!」
「おやおや、こんな事くらいで顔を真っ赤にするなんて...青春だね♪」
青春だねって...年寄り臭いですよ、お姉さん!本当に年齢は何歳なんですか!?
「ほら、シュン!ボゥーッとしてないでこっちに来なさい!」
「は、はい!ただいま、行きま~すっ!じゃ、お姉さん、僕達はここで
失礼しますね!」
僕はお姉さんに一礼すると、激おこ状態のアミューの元にダッシュで
駆けて行く。
「お待たせ、アミュー!じゃ、ゴブリン退治に行こうか♪」
「むむ...それって卑怯だよ、シュン!」
「卑怯っ!?いきなり卑怯ってどういう事っ!?」
うう...本当に卑怯だ...。そんなお日様の様な笑顔を見せられたら...
怒る気がなくなっちゃうじゃないか...。
「ね、ねぇ!何がどう卑怯なんだよ~」
「さあ、何がでしょうね...ふふ!」
意味がわからないと困惑の表情を見せる蒼井に対し、アミューは頬を
赤に染めながら、舌をチロッと出して微笑んでいる。
――――――――――
僕達は屋台のお姉さんと別れた後、ゴブリン退治の為にこの町の門へ
辿り着くとそこには先程、出会った門番の兵士が立っていた。
「おや...君はさっきの...?どうだい、ギフトは判明したかい?」
「いいえ、ギフトの判明には金貨1枚かかるらしくて、今からそれを
稼ぎに行く所なんですよ!」
「稼ぎに...?それじゃ、ギルドの方には加入したんだね?」
「はい...それで今から、外に出たいんですが...あ、これ僕のギルドカード
これを見せれば、ここを自由に出入りできるんですよね?」
そう言って、僕は門番の兵士にギルドカードを手渡した。
「ああ、そうだよ。それではギルドカードを拝見させてもらうね...どれどれ、
ふむふむ...うん、間違えなくこれは本物のギルドカードみたいだね...!
それじゃ、通っていいよ!」
門番の兵士が通行の許可を出すと、渡していたギルドカードを僕に返してきた。




