251話・神具
「うん。磯下君の言う通り、それらは全部メイーナの特製マジック
アイテムさ♪」
「や、やっぱり聞き間違えじゃなかった!」
「そ、それじゃ、このオイラ達のアイテムって...」
「め、め、女神様から直接、譲渡された...」
「マジックアイテム...なの......」
蒼井の告げる衝撃事実に、磯下、鈍山、緑川、そして、マーガレットが
それぞれが目を見開き、ワナワナと身体中を震わせ......
「「「「はううぅぅぅぅ―――――っ!!!?」」」」
そしてとうとう思考がキャパオーバーしたのか、磯下達全員が声にならない
くらいの叫声を荒らげる。
「そ、そう言えば、お父様から聞いた事があります、女神の祝福が添付された
マジックアイテムを『神具』と言って、魔王を倒すべく作り出された究極の
逸品だと!」
リリは父親から聞いた伝承の中にあった、女神様のお祝福を受けた神具の
存在を思い出す。
「し、神具!」
「究極でゲスか...!」
リリの述べる神具の事を耳にする磯下と鈍山が、さっき蒼井から貰った腕輪に
目線を持っていくと、驚きでジィィーと見つめてしまう。
「神具...女神の祝福を添付させるのですから、並大抵の鉱石では耐えられない
のは必至。アダマン、黒鋼、魔珠、オリハルコン等、こういった最高で
最強クラスの鉱石類でないと、土台の基礎にすらなりません...」
「最高の最強クラス...なんか、凄か響きタイネ...」
「うわ...その鉱石って~全てうん千万枚の金貨と同価値だったよね~」
マーガレットは言葉の響きに目を丸くし、緑川はランスロッド城にくる
商人から聞いたそれらの価値を知っていたので、更に驚いてしまう。
「そしてそれらを上手く配合できる技を持ち...それを鍛え上げる事ができ、
尚、絶妙な力加減を持ち...そして、そこに女神様の祝福を添付させる力がある
大きな魔力持つ者...それらの力が奇跡の様に重なり合い、完成したモノ...
それが伝説の『神具』なのです!」
リリ王女は神具が如何にして構築され、果てしない条件の先に完成するのだと
熱く、熱く磯下達に語って聞かせた。
「あわわ...そ、そんな話を聞いたら、何か急に怖くなってきたぜ!」
「だ、だよね...オイラ達の腕にうん千万金貨が乗っているようなモノだし...」
磯下と鈍山が腕に装備した腕輪をブルブルと震える身体で見ると、その緊張に
更に身体の震えが増してきた。
「で、でも...良く考えたら~これって人じゃなく、直接女神様が~お作りに
なられているんだよね...だとしたら......」
「はい。少国なら余裕で買えてしまう価値はあると思います!」
緑川がその事にふと気づき、磯下達と同様に身体中がブルブル震えてきて、
生唾がゴクッと喉を通った瞬間、にこやかな表情でリリが、トンでもない
事実を口にしてくる。
「く、くくく、国が買えてしまうと!それは流石に大袈裟やろ!リリ王女!」
「いいえ...国を譲渡してでも、速攻で欲しいと手を上げる人が多数いるのは
間違いないでしょうね...」
驚きで呂律が乱れるマーガレットの問いに、リリが首を左右に振って腕輪や
指輪の価値がどれだけ凄いのかを淡々と語るのだった。




