23話・屋台市場
「ほら...見て、あそこが屋台市場だよ!」
「......」
「ねぇ、シュン...ちゃんと私の話を聞いてる?」
「え...!あ、うん...聞いてた、聞いてた...!」
嘘です!アミューのおっぱいの感触に全神経を集中してました!
「もう、そんなに私の胸に気を取られるのはわかるけど、クエストには
ちゃんと取り組もうね!」
キャァァ――――ッ!嘘がバレてたぁぁぁ―――――ッ!!
「あ!見て...あの屋台が、クエストを依頼してきた屋台じゃない?」
うう...まさかバレてたなんて、何て恥ずかしい.........ん?
あの屋台って、確か......
「嗚呼、そうだよ!あの屋台...さっきの焼き鳥屋じゃないか...!」
「あれ?シュン、あの屋台の事を知っているの?」
「うん。僕がお腹を空かせていた時、あの屋台のお姉さんが
焼き鳥を一本、ただでくれたんだ!」
はぁ~あ...あの焼き鳥は腹が減っていたのもあるけど、本当に
美味しかったなぁ...。
「へえ...お姉さん...ねぇ?まさか、このクエストを受けたのって...
お姉さんとやらに会うのが目的だったの...?」
アミューがジト目をしながら、少し呆れが含まれた口調で蒼井の顔を
見ている。
「違うって、この驚いた顔を見なよ、僕だってビックリしてるんだから!」
「う~ん、確かにルンルンって感じでクエストを受けてなかったし...
しょうがない...信じるか!」
え...何で上から口調なの?まぁ...いいか、取り敢えず信じてくれた
みたいだし...
「あ、あの~すいません...ギルドからクエストを受けてきました~」
僕はアミューが納得した所で、お姉さんのいる屋台に移動して
お姉さんに声をかける。
「ギルドから...?それじゃ、やっと引き受けてくれた...って、おや?
あんたはさっきの坊やじゃないかい?」
ぼ、坊やって...僕とお姉さんの年って、そんなに離れていないはず
なんだけど...お姉さん、見た目と違って結構、年なのか?
「あの...お姉さんって、年はいくつなんですか?」
「ち、ちょっとシュン!いくら気になるからって、女性に年齢を
聞くのはタブーなんだよ!」
おくびも悪びれもなく、普通に屋台のお姉さんへ年齢を聞く
蒼井の鈍感さに、激昂した言葉でアミューが説教する。
「アハハハッ!やっぱり坊や...面白いね!本当、あんたって、
私のタイプだよ...もうギュッとしちゃおうっかな~♪」
「はうっ!?」
「なななっ!?」
お姉さんが豪快に笑いながら、そう断言すると蒼井の事をハグする様に
ギュッと抱き締めた。
お姉さんのおっぱいデケェェェ――――ッ!!
このおっぱいの感触は...D...絶対にD以上は確定ですぞぉっ!!
「ちょっとぉぉぉ―――っ!何で私のシュ...ゲフン、私の相棒にいきなり
抱きついてるのよぉぉっ!!」
「おや?ゴメン、ゴメン!つい、この坊やが可愛くてハグしちゃったよ!」
「ハグって...今のはどう見ても、思いっきりと抱き締めていましたよね!」
「なんだい?そこまで怒るって事は、嬢ちゃん...この坊やのこれなのかい?」
屋台のお姉さんがニシシと笑いながら、小指を立ててアミューに恋人なのかと
聞いてくる。
「ち、違いますよ!アミューは僕の恋人なんかじゃ!アミューは
ただの冒険仲間ってだけの間柄です!」
「ただの冒険仲間ってだけ...ただの...ただの......」
シュンの迷いのない否定の言葉にアミューがガクッと前に倒れ込み、
両手と両ひざを大地に突いて頭を垂れる...。




