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222話・効いてない


「ゲヒ!やった...やったでゲスゥゥ―――ッ!!」


自分の放ったビームが蒼井に直撃した事に、鈍山が身体いっぱいを

使って喜んでいる。


「みんなの仇はオイラが討ったからね~ゲヒヒ!」


「おい、おい...勝手に殺すな、ドン亀......」


「そうですよ、鈍山君...。まぁ、死ぬかとは思いましたけど~!」


「ゲヒッ!?磯下君、緑川さん!」


自分の仇を討ったと口走る鈍山に、磯下と緑川がダメージを受けた

身体を我慢しながら、窘めてくる。


「しかし、キミのギフト技は本当、凄か威力っタイネ...」


「あ!マーガレットさん!マーガレットさんも無事だったでゲスね!」


「あんま、無事とは言えんケドネ...」


そしてマーガレットが痛みのまだ残っているお腹を押さえてつつ、

磯下達と鈍山のいる場所へヨロヨロしながら近づいて行く。


「だけどこれで盗賊の残りも、あのエルフの姉ちゃんだけだな!」


「ああ...そうやけど。でもだからと言って、楽できるってわけでも

なかばってンネッ!」


磯下とマーガレットがルビに目線を向けると、痛む身体を抑え込んで

攻撃体制に入る。


「おや?あなた達、何やらこちらばかり見ていますけど、そんなよそ見を

していてもいいんですか?」


自分に向けられる目線を見て、ルビがやれやれといったポーズを取って

マーガレット達に忠告する。


「よそ見?よそ見って、なんね!私達、どこをどがん見てもあんたしか

見とらんやロガッ!」


「ん...待って、マーガレットさん。あのエルフさんの目線...なんか、上の方を

向いていますよ~?」


「上......?嗚呼っ!?あ、あれはナンネ!?」


緑川の言葉を聞いたマーガレットが、急ぎ上空へ目線を向けると、そこには

人影らしきものが目に映る。


「ふう...ビックリしたぁぁ~!マジ、死ぬかと思ったよっ!」


「あ、あいつは...白銀野郎じゃ、ナカネッ!?」


「う、嘘だろ...。さ、さっきのドン亀の放ったビームのダメージが

全くないみたいなんですけどっ!?」


煙だけが巻き起こって、どこもダメージを負っていない蒼井の姿を見て、

磯下があわあわと動揺しながら喫驚し、後退りしてしまう。


「ふう、ロック・シールドのおかげで、うまく盾にビームを誘導できたよ♪」


僕は先程のビームで舞っている埃を、手でパンパンッとはらう。


「よし!これでいいか...。よいしょっと!」


そして、はらい終えた僕は、ルビさんのいる場所へスーッと上空から

ゆっくり降りて行く。


「シ、シュン様!だ、大丈夫なんですか!?」


蒼井が鈍山のギフト技を思いっきり食らっていたのを見ていたせいか、

ルビが動揺の混じった心配顔をして、蒼井の所に早足で慌てて駆けてくる。


「へへ...結構ビビっちゃったけど、流石はメイーナの作った究極の防具だね!

全然、ビクともしなかったよ♪」


僕はそうルビさんに述べると、メイーナ特製のアイテムたちの凄さに、

改めて感涙してしまうのだった。


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