220話・一切の容赦なし!
「さて...次は......」
「はうぅぅ!?めめめ、目線が、あいつの目線が、わ、私を見て、
見て......あわわわ!?」
キランッと光る蒼井の目線と合うと、緑川が気絶しそうなくらいに
ビビってしまい、その身はドンドン後退りしてしまう。
「く~嫌です~!こんな所で死んじゃうなんて~絶っっ対に嫌ですから~!」
『喰らえ~!ファイヤアロー!コールドアロー!ウインドアロー!
そして~ロックアローォォォッ!!』
蒼井の次のターゲットになった緑川が、動揺する心を懸命に抑えながら、
急速にギフト技...無詠唱を発動し、魔法を間入れずに連続で発射していく!
『あ、あれは無詠唱!?あんな少女なのに、賢者クラスのギフトを
使えるだなんて...』
「でも...さ!」
ナヒの驚きをよそに、僕はニヤッと口角をあげながら、疾風の剣を大きく
横一閃に振る!
「う、嘘だぁ~!わ、私の連続魔法が、剣のひと振―――キャアアッ!!」
自分の繰り出した魔法を、蒼井の疾風の剣が巻き起こす爆風波で
全て掻き消され...そのショックで動きを止める緑川...
その隙を蒼井に狙われてしまい、即座に放った次の攻撃...風の刃を
思いっきり、身体に叩きつけられた緑川が、派手に後方へと吹っ飛ん行く!
「うう...なんね、なんなんね、この強さは!?く、くそぉぉぉぉ!!
だがな、私は負けんばい、やってやるバァァァイッ!!」
『喰らえぇぇぇ!棍打撃連ッ!うららららららららら―――!!!』
マーガレットがギフト技を発動し、高速の棍の連打を青井へ次々と叩き込んで
いく!
「うわ...すごい、速さ!?ひとつの棍なのに、何個もあるように見えるよ!?」
「くぬぬ...なんね、あの余裕の顔は!気に食わん...全く、気に食わんバイッ!」
必死になって打ち込んでいる棍を、涼しい顔で交わす蒼井に、マーガレットが
怒りと困惑の入り交じった表情を浮かべて、納得がいかないと嘆いていた。
「ゲヒャ...にゃ、にゃんなの、あの白銀の野郎は...磯下君や緑川さん、そして、
マーガレットさんまで翻弄しているじゃないか...!?」
少し離れた場所でスタンバっていた鈍山が、蒼井のあまりの強さに目を丸して、
額に大量の冷や汗を掻いている。
「くそ!この!よけるんじゃ、ナカネッ!!」
「む、無茶を言わないで!こんなのに当たったら、ただじゃ済まないって!
だから...これでおしまいにしよう...ねっとっ!」
「消えた...ハッ!?し、下からの攻―――ゲアハァッ!!」
両手を使っての連打のせいで、ガラ空きだったマーガレットの足元下に
屈んで死角を狙った蒼井...
そして、突き上げる様に打ち出した拳が、見事にマーガレットのドテッ腹へと
叩き込まれる!
『うわ...主様。女だからといっても、一切の容赦がありませんね...』
「当たり前だろう!女だからって、手を抜いて戦った結果、ココ達がピンチに
なってしまったら、本末転倒だしな!」
そうさ...僕にはココやアミュー、そしてルビさんを守る義務がある。
勿論、相手の状況判断でそれも変わってくるだろうけど...
だけど、こんな外道の道に落ちた盗賊や、あの門でイチャモンをつけてきた
自分勝手な輩...そして貴族だからと傍若無人を振る舞う、ガッコみたいなやつに、
容赦の欠片も慈悲も与えやしないけどね!
僕は心に決めたその決意を、ナヒに語り聞かせるのだった。




