218話・隠蔽工作
「お、おい!なんだ、貴様は!空から突然、現れやがって!?き、貴様も
そのエルフの姉ちゃんの仲間なのかっ?」
いきなり目の前に現れた蒼井に、磯下が少しビビりを見せながらも、
威圧する視線を向けくる。
「ん...あの連中が、さっきナヒの言っていた手練れなのか?」
『はい、そうです!あの四人、間違いなく強敵ですね...。LVで言ったら
主様の方が圧倒的に上なんですが...気はつけて下さいね!』
ナヒが四人の盗賊の気質を見て、蒼井に軽い注意を促す。
「そっか...わかったよ、ナヒ!」
でも、気のせいかな...
な~んか、聞き覚えのある声なんだよなぁ...あの男の声って?
遠くにいるせいで相手の顔は見えないが、どこかで聞いた事のある声に、
僕は頭の中をグルグル回して、一体誰だろうと思考する。
『それならちょっと、待ってください...あいつ何者かを、今調べて
みますから!ステータス・オ―――プンッ!』
疑問する蒼井の言葉を聞いて、ナヒが相手のステータスを調べる為に、
ステータス開示魔法を詠唱する。
『どれどれ......って、うわ!な、なんですか、これっ!?』
「ど、どうしたんだい、ナヒ!?そんな鳩が豆鉄砲を食らった声を上げて!?」
『それがですね、あの男...それに他の三人もどうやら認識を阻害する魔法が
かかっており、自分のステータスを偽造しているみたいなんですよ!』
「へ...認識を阻害?ス、ステータスの偽造??」
ナヒの慌てながら発する相手のステータス説明を聞いて、僕はその意味が
わからずにハテナ顔をしてしまう。
『認識を阻害する魔法とはその名が示す様に、ステータスや気配を隠蔽する
魔法なのですが...その人物が重要な人物である事を相手に気づかれない様に
する為や、相手を油断させる為になんかに用いる、上位魔法なんです...』
ハテナ顔をしている蒼井に、ナヒが認識を阻害する魔法の詳しい説明をする。
『しかし、私の認識魔法でもステータスが見れないって事は、あの連中...
もしかして、神様クラスと関わりがある人物の可能性があるかも知れませんね!』
「か、神様クラスって...メイーナの仲間...つまり、女神クラスが関わってる
かもって事?」
あのメイーナと同角の女神クラスが、あの連中にかかわっていると聞いた僕は、
驚きを隠せず、額からひと滴の冷や汗が流れる。
『恐らく、間違いないでしょうね。この偽造の手の込みよう...これは中々、
強大なクラスがバックにいる可能性が大きいですね!』
ナヒが苦虫を噛み砕いた様な顔をして、この厄介な状況に困惑する。




