21話・惚れたと掘れた
「もうシュン、いきなり話しかけないでよ！ビックリしちゃったじゃん！」
「そうですよ、シュン様！レディの会話に男子がちゃちゃを入れては
駄目なんですよ！」
トークの内容を蒼井に聞かれたと思った二人が、それを誤魔化す様に
慌てながらプンプンと怒って見せる。
はは...やっぱ、トークを止められたのが嫌だったのかな...？二人が凄い
剣幕で怒っている......
う...しょうがない...何かちょっと理不尽な気もするが...ここは取り敢えず、
素直に謝っておく事にしよう...。
「ゴメン...次からはちゃんと気をつけます......」
「本当...気をつけて下さいね、シュン様！」
「はい...」
「...で、聞こえたの...？」
「聞こえたって、何が？」
「私とルビさんの会話の内容だよ、内容！」
さっきのルビとの会話を蒼井に聞かれていないか、アミューが
詰め寄ってくる。
「え...ううん、二人ともお互いの耳元で喋ってたみたいだから、
僕の耳には殆ど聞こえてこなかったよ」
「そ、そっか...それは良かった...」
「あ、でもホレたって言葉は聞こえてきたよ...！」
「「ブゥゥゥゥ―――――――ッ！！！」」
アミューとルビが吹き出すように蒼井の言葉に喫驚する。
「ち、違うのシュン...それはね...惚れたって言うのは...」
「でも安心して、アミュー達がどこを掘りたいのかまでは、
聞こえてないから！」
「え...ほりたい？」
「イヤ～二人ともあそこまでうっとりした顔で語ってたんだ...
きっとお宝でも掘る話だったのかな...？」
「ハイ...？お、お宝を掘る話...ですか？」
「え...二人が話していたのって、どこかを掘るって話じゃないの？」
あれ...違ったのか？二人の顔が「何言ってんの？」って顔になってる...？
「そ、そうよ！掘る話をしてたんだよ！ねぇ、ルビさん！」
「は、はい、そうです！私達、掘る話をしてました！」
何だ、やっぱりそうだったか！
「それで、どんなお宝を掘る予定なんだい？」
「そ、それは...内緒よ！」
「はは...だよね～！」
まあ...そりゃ、そうだ。さっき会ったばかりの僕に、お宝の事を
教える訳がないよね...。
「ふう...勘違いしてくれたのは良かったけど...惚れたを掘れたって...
シュンって、かなりの鈍感なんだね...」
「そうですね...まさか、惚れたって言葉を聞いて掘れたの方に
聞き間違えをするなんて...」
アミューとルビはお互い、蒼井に聞こえないくらいのかぼそい声で
そう話すと、深い溜め息を吐くのであった...。
あ、でも...お宝を掘るって言葉...よく考えたら、ニアピンな考えだよね...？
意外にシュンって、感が鋭い...？
イヤ...それはいくらなんでも、深読みし過ぎか......はは...。
アミューは自分の突拍子のない考えに、思わずニガ笑いを
浮かべてしまう...。
