20話・惚れたと惚れた
「ほほほ、惚れたって、なな、何の事を言っているのかしら~?
私には、ぜんぜ~ん~わっかりません~!」
図星を突かれたアミューが、慌てふためきながら、ルビの言葉を
必死に否定する。
「おとぼけしても駄目ですよ!だって私、今まで一度もアミューさんが
異性に対し、ここまで優しく接した姿を見た事がありませんもの!」
「う...そ、そんな事ないですよ~だ!大体、そういうルビさんこそ、
先程シュンに見せていたあの優しい微笑み...あれって、完全に惚れた
好意からきてるんでしょう!」
「そそそそ、そんな事、ああある、あるわけないでしょうっ!!?」
ルビも図星を突かれてしまったのか、ぎこちない言葉や動きで慌て
ふためいている。
「イヤ...その態度で十分ですよ...ルビさん...」
だって、いつも冷静沈着な癖に、シュンの事を語るだけで、今みたいに
表情や態度が完全にガタ崩れしちゃってるんだもの...。
それに大体、シュンの事をシュン様って呼んでる時点でお察しなのよ、
他の冒険者達はさん付けなんだから...。
しかし、まさかルビさんがここまでシュンに惚れていたなんて
ちょっと、想定外だったな...。
でも、私も負けませんよ...!だって、さっきルビさんが言うように
ここまで異性を意識したのは初めてなんだから...。
「ふ...どっちが早くシュンに告白できるか、勝負ですね...ルビさん!」
「はう!こ、告白...ですか...!?」
アミューの告白と言う言葉を聞いたルビが、その頬を真っ赤に染めて
照れている。
「う~ん、あの二人...パーティ登録の事を話してるようには見えないけど、
何の話をしてるんだろ...?」
何か驚いたり、怒ったり、笑ったり、色々な表情で会話してるな......。
でも...二人が楽しく話をしているところ、悪いんだけど...僕、今日中に
ギフト判明のお金を稼がなきゃいけないんだよな...
最悪それが無理でも、今日泊まる宿屋の料金くらいは、何としても
ゲットしておきたい...。
なので...女子のガールズトークに割り込むのは、ちょっと勇気がいるけど...
パーティ登録の催促に、二人の所へと行くとしますか...。
僕はそう意を決すると、ガールズトークを止める為に二人の元へ移動する。
「あ、あの...ルビさん...。パーティ登録の方は...まだでしょうか...?」
「「うきゃあぁぁ―――っ!?」」
僕が恐る恐ると会話に割って入ると、突然話しかけられ驚いたのか、
二人がそろって目を見開き、叫声を荒らげる。




