190話・旅準備をする
イアナさんとキッシュちゃんに別れを告げた僕達は、これからの
旅に必要なアイテムを買う為、アミュー贔屓の道具屋へ歩いて行く...
それから、数十分後......。
アミューの案内で連れてこられた場所に僕達が辿り着くと、
そこには大きなドル袋看板が特徴の建物が瞳に映る。
「じゃ~ん!ここが私のご贔屓している道具屋...『カトンボ』だよ!」
「へえ...店の前に、物珍しい品がいっぱい置いてあるな...」
「ほら、ほら!そんな所で見ハマっていないで、ちゃっちゃと中に
入るわよ、シュン!」
店の外の品を見ていた蒼井の手をアミューが引っ張ると、旅で必要な道具を
購入する為にその建物...カトンボへ入って行った。
「まずアイテムは...っと、ポーションに毒消し...テントにランプ、それに
ちょっと高いけど、このMPポーションも数個、買っておこうか♪」
アミューが旅に必要なアイテムを数個チョイスして、次々とカゴに
放り込む。
「あ、アミューお姉ちゃん。あのブースターアイテムも買って
おいた方がいいんじゃないかな?」
ココがちょんちょんとアミューの服を摘まむと、ブースター
アイテムを指差した。
「おお!ブースターアイテムか!ナイス判断だね、ココちゃん♪」
ココの指差した、ブースターアイテムをアミューが手に取って
カゴに放り込んだ。
それから更に数個、アミューがアイテムをチョイスして精算すると、
道具屋カトンボから外へ出る。
「アイテムの次は...市場へ食料を買いに行きましょうか、シュン様!」
アイテムを買い終えた蒼井の手をルビが取って、次に行く場所、
食料等を扱っている市場へ移動する。
◇◇◇◇◇◇◇
「おお!スゴい...結構、色々なお店が並んでいるんだね!」
市場に辿り着いた僕は目の前にある沢山の店を見渡し、歓喜の
声を上げる。
「それじゃ、少々高くつきますけど...腐りにくい魔法が添付されている
食料を中心に買っていきましょうか!」
「だね...ここをしくじると、後々酷い目に合うからね...」
アミューもルビの言葉に相づちを打つと、腹を擦りながらその言葉を
肯定する。
「あ...水の方もなるべく、腐りにくい魔法が添付されている物を
買った方がいいでしょう...」
安物買いのなんとやらを避ける為、高くてもしっかりした物を選び、
ルビが旅の食料を購入していく...
「よし...持ち金で用意できる品数は大体、これくらいですかね!」
持ち金で買えるだけの食料を買ったルビが、それを精算すると、
僕達はカトンの門前まで移動する。
◇◇◇◇◇◇◇
「やや!あ、貴方様は!き、昨日のっ!?」
蒼井達に気づいたカトンの門番が、慌てる様にあたふたと動くものの、
完璧な敬礼を見せてくる。
「ど、どうしたんだ、お前...?こんな冴えない奴に、慌てて敬礼なんて
しちゃって?」
「ば、バカか、お前はっ!昨日話しただろうがっ!このお方はあの悪どい
グリーン貴族を撃退してくださった、勇者様だっ!」
昨日、確かに伝えた筈なのに、それをアホ面で聞いてくる相方に、
門番は目を大きく見開いて説教を荒らげる。
「な!?あ、あのグリーン貴族を撃退しただとっ!?そ、それなら
早急にこいつを掴まえなきゃいけないんじゃねぇのかっ!?」
門番の兵士が蒼井をギロッと睨むと、持っていた槍を身構えてきた。