187話・屈託のない笑顔
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと、そこの三人!何を一緒の布団で
寝ているんですか!?」
いきなり蒼井達の部屋に入ってきたルビが三人の状況を見て、
その身をブルブルと震わせて、激昂している。
◇◇◇◇◇◇◇
「なるほど...。ベッドで一緒に寝てくれないから、このハーレム状態だと...」
「ハ、ハーレムって大袈裟だな、ルビさんは...。ただ、ちょっとシュンの横で
寝てただけだよ、ちょっとだけ!ね、ねぇ~ココちゃん!」
ルビの威圧な視線を見ない様に、アミューが懸命な言い訳を述べる。
「はい!お兄ちゃんが床で寒そうにしてたから、私のこのモフモフで暖めて
あげようとしたんです!」
そしてココが邪な心が全く感じられない笑顔で、アミューやルビに自分の
心情を述べた。
「何やら、アミューさんとココちゃんのニュアンスが、かなぁ~り、
違うんですが...それって、私の気のせいでしょうか?」
疑い全開のルビの目が、アミューだけをジィィーッと見てくる。
「そうそう!気のせいだよ、気のせい!それにいくら私だって、
ココちゃんの前では、自重するよ、自重をっ!」
「む...確かに、この屈託のないココちゃんの笑顔の前では、猪突猛進の
アミューさんでも、そんな行動に及べる訳がないですよね......」
アミューの必死な言い訳を聞いた後、ルビがココの方へ目線を持っていくと、
この笑顔の前には、流石に空気は読むよね...っと確認するルビだった。
「ねぇ、アミューお姉ちゃん、ルビお姉ちゃん。自重って...何ですか??」
アミュー言ったの「自重」が気になったココが、ハテナ顔をして二人へ
問いかける。
「へ...そ、それはね...えっと、その......うん、ココちゃんがそこまで深く
考える事じゃないんだよ!ほ、本当だよ!ねぇ~ルビさん!」
「え、ああ...はい!そ、そうですね!アミューさんの言う通り、ココちゃんが
気にする事じゃないくらいのくだらない事ですよ!」
アミューの強引なパスを受けて、ルビが動揺MAXであたふたし、ココへ必死に
誤魔化しの言葉を口にする。
「そ、それより腹が減っちゃったね。そろそろイアナさんが朝食を用意して
いる頃かな~あはは♪」
アミューが誤魔化す様にそう述べてその場をスーッと立つと、
そそくさと部屋を出ていった。
「それでルビお姉ちゃん、自重って何です――」
「ああ、私もお腹が減ってきましたね!ここって食事だけを注文が
できるのかしら?よし!行って聞いてみますか!じゃ、ココちゃん。
また後で会いましょう!」
ルビもアミューと同じ様に必死な言い訳を述べると、急いで部屋を
出て行くのだった。