182話・謎の人物...驚愕する
「あ...そうそう、先程の台詞に1つ修正がありました...。魔導兵器の件は、
ガッコちゃんが...じゃなく、あのお方の指示での横流しだったんですよ~♪」
既にいないガッコへ、謎の人物がワザとらしく相づちを打って言い訳を
洩らす。
「ふふ、次はキミかな?」
謎の人物がニコッと口角を上げて、蒼井の方に顔を向ける。
「...と、言いたい所だけど、まぁ、いっか♪別に私の依頼は
このガッコちゃんの始末だけですしねぇ~♪はいはい...と、
言うわけで、これにて私のお仕事、これにて終了でぇぇぇぇす♪
おっ邪魔しましたぁぁぁぁ~~♪」
ガッコを始末した謎の人物が、蒼井に満面の笑みを浮かべて敬礼ポーズを
取ると、上空へとジャンプする!
「って、逃がすかぁぁぁぁ―――――っ!!」
この場を去ろうとする謎の人物を追いかける様に、僕は天使の靴を使って
ジャンプする!
「うわ、ビックリしたぁぁ!へぇ...キミって人族なのに、本当に空を
飛べるんだぁ!凄い、凄い~♪」
謎の人物が屈託のない笑顔で、両手をパチパチと叩いて拍手する。
「そんな賛辞はどうでもいい!一体、誰に頼まれてあのオッサンを始末した!」
「イヤイヤ...さすがに、それをここで発表する訳にはいかないんだよね~♪」
蒼井の問いに、謎の人物が首を横に振って答えるのを拒否してくる。
「そっか...答えたくないなら、強引に聞くまでだ!」
「強引にって...そんなボロボロ状態なのに、私と戦おうっていうの?」
自分と戦うと息巻いている、ボロボロ状態の蒼井をじろじろと値踏みして
謎の人物が苦言を吐いてくる。
「それなら、心配しなくてもいい......ナヒ、僕の想像通りの事が
できるかい?」
『ハイハイ、できますよ。それじゃ、最適装備へチェンジしますね!』
蒼井の号令を合図に、ボロ状態だった装備があっという間に、別物の
装備一式へとチェンジする。
「へ...そ、装備が一瞬で変わった...!?ど、どういう事??」
突如、目の前で起こった意味不明な現象に、表情をあまり崩さなかった
謎の人物が目を丸くして驚いている。
「それじゃ...改めて、お前が何者なのか...問いたださせてもらうっ!!」
僕は先程の炎に対抗する為に装備した、ウォーターソードで謎の人物へと
斬りかかって行く!
「うわ!その剣...水属性が添付されているじゃん、ずっるぅぅい!」
蒼井のウォーターソードを見て、謎の人物が膨れっ面でプンプンと怒って
文句を洩らす。
「そりゃ、当たり前だろ!相手の弱点は突けるなら突く...当然の行為だっ!
うりゃぁぁぁ―――っ!」
僕は先程の炎の攻撃といい、見た目の深紅さといい、恐らくこの娘の得意な
属性は炎と判断し、ナヒにその属性に効果的な武器や防具を召喚してもらった。
「ちょ、たんまし――って、のわぁ!おわぁ!!ぞわわぁぁぁ―――っ!!」
問答無用で攻撃してくる蒼井の剣を、謎の人物が皮いち枚くらいの感覚で、
右に左にと、必死になって避けている!