180話・謎の人物
「うがが...や、やめろぉぉ...。ごの俺ざまを...殺るつもりがぁ...!?
この、エリードのガッコ様をよぉぉぉぉっ!!」
「メイーナにさ、今度はもう少し性格のましな人間にしてもらって
生まれ変わってきなよ...。じゃあな...オッサン!」
僕は祈る様にそう呟くと、振り上げていた疾風の剣をガッコに目掛けて
思いっきり振りかぶり、風の刃を撃ち出した!
だが、その時...!
「すいません~♪ちょっと、お邪魔しますよ~♪」
上空から何者かが、蒼井とガッコの間に割り込んで降りてくる!
「申し訳ないんですけど、その攻撃をガッコちゃんに食らわせちゃう
わけにはいかないんだよねぇ~♪」
突如、蒼井とガッコとの間に割って入った何者かがそう告げると、
頬をポリポリと掻いて蒼井に謝ってくる。
「な!?キ、キミ!そんな所に立ったら危な――」
「ふふ...大丈夫だ...よっと♪」
謎の人物が蒼井にニコッと微笑むと、右腕をスゥッと前に突き出して
飛んでくる風の刃の前に、手のひらをバッと広げる!
すると、蒼井の飛ばした風の刃が謎の人物の手のひらの前で、何かに
弾かれたかの如く、バラバラに拡散した!
え、ウソ...!
か、風の刃が、弾けて砕けちゃったよ...。
「キ、キミは何者なんだ...どうして僕の邪魔をする?」
驚くのは後回しにして、僕は目の前にいる立っている謎の人物へ
困惑した表情でそう問いかける。
「私が何者かは取り敢えず、内緒という事で♪それで何故、邪魔をするかは、
さっきも言ったけど、ガッコちゃんをキミに殺らせるわけには
いかないから...かな♪」
ガッコを倒す事を邪魔するって事は、やはりこいつはガッコの仲間なのか?
それにしても...この言葉使いや声の感じ...もしかして、こいつ...女?
僕は自分を語らない謎の人物に目線を向けて、改めて観察する...
背格好は、僕よりひと回り小さいな...。
ローブをかぶって顔立ちはよく見えないが、髪色はキレイな深紅で、
瞳の色も同じくキレイな深紅色だ...
そして女かどうかを確認する為に、僕は目線をその子の顔から
更に下にさげる...
おお!こ、これは......!?
この子...か、かなりのオッ......
『ゴホンッ!かなりの、なんですか...あ・る・じ・様・っ?』
「へ...な、なんでもありませんよ!なんでもねぇ!あははは♪」
ふう...そうだった、そうだった!ナヒさん、心が読めるんだった!
僕が相手の胸に視線を送った瞬間、鬼の形相を連想させる口調で
ナヒから威圧される。
「そ、それで...そのオッサンを助けるって事は、お前もオッサンの
仲間なのか!」
僕は気持ちを切り替えて、謎の人物にガッコとの繋がりを改めて
問いただす。
「ん...助ける?それは見当が違うかな?何故なら、私がガッコちゃんを
助けたのは...」
謎の人物が口角を上げると、ガッコの場所まで大きくジャンプをして
一気に移動する。