18話・パーティ組まない?
「ねぇ、君...派手に吹っ飛ばされていたけど、身体の方は大丈夫なの?」
「え...?ああ、は、はい...!大丈夫です...!」
この金剛石の腕輪のおかげで、全くダメージはありませんから!
「そっか...それなら良かった!あ...私、このギルドで冒険者を
やらせてもらっている『アミュー・ズレテタ』って言うの!
アミューって、呼んでね!敬語の方もなしでよろしく♪」
アミューか、中々可愛い娘だな...。ポニーテールが良く似合ってる!
「うん、わかった。僕は『シュン・アオイ』って言うんだ。
僕の方も気楽にシュンって、呼んでよ!」
アミューと僕は、お互いに自己紹介を交わす。
「それにしてもあいつったら、本当...ヒドイよね!」
「はは...そうだね、いきなり殴ってくるなんて...冒険者は、
気性が荒くれ者みたいなのが多いのかな...?」
「そんな事ないって!確かに商売上、冒険者は気が強くないと
いけないけど、荒くれ者なんかじゃ決してないわ!」
アミューが断固とした態度で、蒼井の言葉を否定してくる。
イヤ...さっき、思いっきり下卑た笑いを上げていらっしゃったよね、
そこの冒険者の諸君達...。
ほら、後ろを見てごらんよアミューさん...。君の言葉を聞いた冒険者の
皆さんが、とっても困惑な顔をしていますよ...。
僕は心の中でそう思ったのだが...取り敢えず、空気を読んで口には
出さないでおく事にした。
「それにあいつが怒っていた原因って、ほら...さっき、シュンと
受付嬢がさ、仲良く話をしていたじゃない?」
「仲良くって、ワケじゃないけどね...」
「まあ...本当はそうでも、あいつには仲良く見えたんでしょうね...」
「つまり、こう言う事?受付嬢に惚れているあの先輩冒険者が、
嫉妬の腹いせで僕をぶん殴ったと...」
「うん。簡単に言えば、そう言う事だよ!」
はあ...何それ...。見た感じ、結構な年齢だったみたいだけど...嫉妬と
腹いせで自分の後輩である新人を殴るって...なんて、子どもな先輩だ...。
「だから、しばらくあいつにちょかいを出されるかもしれないから、
気をつけてね。基本ギルドは、冒険者同士の小競り合いに干渉しないから...」
「干渉しないって...結構ドライなんだね、ギルドって所...」
「はは...しょうがないさ。さっきも言ったけど冒険者って、
気の強い者が多いから、全部を相手にするには相当に骨がいるのよ...」
でも、ヤバイな...次にあの先輩冒険者がちょかいをかけてきたら、
金剛石の腕輪の自動防御が、段階を上げてしまう可能性が...。
はあ...まだ冒険者になって間もないのに...先輩冒険者に絡まれるって、
何てついてないんだ...。
僕はこの先の一抹の不安を感じ、口から嘆息がこぼれる...。
「もう、そんな顔をしないの!あ、そうだ!ここで知り合ったのも
何かの縁だしさ、しばらく私と一緒にパーティを組まない?」
「アミューとパーティを...?」
「うん、パーティを組めば、色々と便利だよ!例えば...戦闘の経験値!
戦闘で私が魔物を倒したとしても、パーティを組んでいれば、シュンにも
その魔物の経験値が分けて貰えるんだ!」
なるほど...RPGゲームのパーティシステムといっしょって事か...。
「それに私って、あの受付嬢...ルビさんと結構、仲が良いから
あいつもそうそう、ちょっかいを出してこないと思うよ♪」
それはいいアイディアかも!アミューが受付嬢の知り合いって言うなら、
アミューとパーティを組んでいれば、あの先輩冒険者もそう簡単に、
僕にちょかいを出してこないだろうし!
それに一人より、二人の方がクエストの効率もいいよね...!
「うん...それじゃ、お願いしてもいいかな、アミュー!」
「オッケー♪この先輩冒険者である私を頼りにしなさいなっ!」
アミューはそう述べると、ふんぞり返りながら蒼井に自信満々の
ドヤ顔をするのであった...。