179話・女神メイーナの真・勇者として
「くぅ...後もうちょっと持ってくれ...後、もうちょっと...ぐぬぬ......
ハッ!しまっ――」
ボロボロと音を出して砕けていく鎧に、まだ砕けるなっと必死に願をかけて
いたその時、魔法の鎧にとうとう限界がきたのか、僕の祈り届かず、
鎧が粉々に砕け散った!
クソォォ...ここまでか。
後はこのHPがゼロになるまで、この身体で......
「さぁ...ビームが尽きるのが先か、僕のHPが尽きるのが先か...勝負だ!」
僕は心でそう決意をすると、ちょっと怖いのでまぶたを閉じてビームの
直撃を身体で受ける為、両手を大きく広げる!
「.........」
「.........」
「...あ、あれ??」
しかしいくら待てども、一向にビームが襲ってこないので、僕はソォーッと
まぶたを開けると、目に前に黒い大きな盾が突き刺さっていた。
「え...?こ、この黒い盾はなんだ?」
『その黒い盾【ブラック・シールド】は、私が射出させたんですよ』
状況を掴めず、僕がまぶたをパチクリしていると、ナヒが助かった
理由を述べてくる。
「おおっ!ナイスサポート!さっすがは、ナヒィィィィィィィィ
ビビビビィィィィィィッッッ!!?」
ナヒの咄嗟の判断に、ナイスと賛辞を送ろうとした瞬間、僕の頭上に
白い雷が落ちてきた!
「イタタタ...ちょっと!ナヒ!いきなり、何をするんだっ!?」
『ふん...私を心配させた罰ですよっ!あんな無謀な事を、私の許可も
取らずに実行した、罰ですっ!』
ナヒが声だけでもわかるくらい、心配と安堵が入り交じった口調で
説教に近い文句をこぼす。
「それは謝るって...まさか、あのオッサンがあそこまでしぶといとは
思わなかったからさ!」
『ま、いいでしょう。取り敢えず、無事みたいですし、今回は許して
あげます。それより、そのしぶといあれ...どうしましょうか?』
「ぐぞぉぉ...いだい...いでぇぇぞぉぉ!くそがァァァッ!!」
ナヒの差す方向に目線を向けると、身体を切り裂かれ腕を潰されても、
尚しぶとく生き残り、のた回っているガッコが瞳に映る。
「う~ん。あのまま、放って置いていいんだろうけど...やっぱり、
役人とかに叩き出した方がいいのかな?」
『それは良い選択ではありませんね...。恐らく、あいつを役人達に
突き出しても無罪放免になる可能性が高いです...。そしてまた、報復と
ばかりにこんな騒動を再び起こすでしょう...』
「確かにその可能性は否めないか。そんな事になったら、今まで苦労が
水の泡になってしまうよな。なら...女神メイーナの真・勇者として、僕が
あいつを...悪を断罪するっ!」
僕はそう発すると、持っていた疾風の剣を痛みで叫声を荒らげている
ガッコに向けてロックする。
「ガッコのオッサン...今、楽にしてやる...」
そして、ゆっくりと剣を上に振りかぶり、風の刃を撃ち出す構えに入る。




