176話・即席な作戦
「後、2分か...。クソ、せめてメイーナ・シリーズが使えればな...」
『使えないものはしょうがないんです。今は、この事態を何とか
打破できないかを思考しましょう!』
悔やんでいる蒼井に対し、ナヒが冷静な口調を発してくる。
「そ、そうだね...。それでナヒ、ナヒは今パッと浮かんでくる案は何か
ないのかい?」
『今パッと浮かぶ案...ですか?ハァ...主様も、結構、無茶を言いますね...。
うむ...そうですね......今パッと浮かんでくる案は...吸収の盾がビームを
吸収している最中、その盾をその場に残してガッコの上空へと飛び上がり...』
「フムフム...」
『その上空から、疾風の剣の風の刃をガッコの装着している魔導キャノンに
目掛けて飛ばし...ガッコから切り離す...まぁ、恐らくこれが今現在、速攻で
出来うる最良の攻撃だと思います...』
「なるほど...よし!時間もない事だし、ここはそのナヒの導き出した
考案で行くとしようか!」
ナヒの案を実行する為に、僕は疾風の剣と吸収の盾をガッコに向けて
身構える。
「ウガガガ...ゴロス、ゴロスゥゥッ!!ズベテノモノヲブチゴワジ、
ズべテノモノヲ......ハイにジテグレルワワワァァ―――――ッ!!」
『あ!マズイですよ、主様!あいつ、また魔導キャノンを撃とうと
しています!』
「くぅ...ボケっと考えている暇もないな...!ダァァァ―――ッ!」
ナヒが慌てた口調で危険を知らせると、僕はそれを早急に排除する為、
飛び出す様に移動する!
「ウッガガガ......グラエェェェ――――ッ!!!」
「ちぃぃ!あの野郎!あんなになってる癖に、屋台市場の方角を狙って
やがるっ!クソォォォォ!間に合うかっ!!」
僕は天使の靴の効果をフルに使い、空中を弾丸の様に飛んで行く!
そして素早くガッコの前に立ち塞がると、吸収の盾を前に突き出し、
魔導キャノンのビームを受けとめる!
「はうぅぅっ!!うぐぐぐぐ......やっぱ、吸収してても振動が激しい!
油断すると、盾が弾かれそうだ!」
ガッコから発射された魔導キャノンのビームを、吸収の盾で懸命に
受けとめる!
「よし!ビームを吸収している、この隙を狙って行くぅぅぅっ!」
僕は吸収の盾をその場に残し、天使の靴の効果で空中を蹴りあげて、
ガッコの上空へとジャンプする!
「その腕...貰ったぁぁぁ――――ッ!!」
「ヤラゼルカ、ボケメガァァ!クワァァァァ―――ッッ!!」
「何ぃぃっ!?目からもビームが出るだとぉぉっ!?くそぉぉぉぉっ!!」
僕はそのビームを避ける為、無理な体勢に身体を曲げ、うまくビームを
避けた!
「チィィ!ヨゲヤガッタカ......グルルルル!」
「イツツツ...無理に避けたから、腰の関接を少しやられた!」
『ったく...それくらいで腰を痛めるなんて...。運動不足にも程がありますよ!
あの世界で全く運動もせず、ダラダラな生活をしているから、そんな弱い
身体になるんです...』
捻った腰をトントン叩いているその姿を見て、ナヒが呆れ口調で蒼井の
『チキュウ』での、ぐうたら生活に軽い説教をしてくる。
「しょうがないだろ。僕は運動とか身体を動かすのがとても苦手な、
根っからの運動音痴だったんだから!」
学校でも部活とかには入らず、速攻で家に帰る帰宅部だっただし...。
本当、こんな動いたのは何年ぶりなんだろう?
ハァ...しかしこれは参ったな...。次の日に関接や筋肉が悲鳴を
あげなきゃいいんだけど...
今にも倒れそうなくらい、疲労困憊している身体状態をみて、僕は
それを案じ、溜め息が洩れるのであった。




