164話・メンテナンス中
「それじゃ、ここの事は頼んだからね!ココ、アミュー!」
「うん、ここの事はボクに任せておいてよ、お兄ちゃん!」
「だから安心して行っておいでよ!もし、チンピラどもがここに
やって来たら、この紅蓮の大剣で全部返り討ちにしてやるからさ!」
蒼井の期待に応えるよう、ココがブラスト・ナックルを、アミューが
紅蓮の大剣を構えて見せる。
「はは...それは頼もしいな。じゃ、行ってくるね!」
僕は右腕を突き出してサムズアップを二人に見せると、外へ向かって
ダッシュで駆けて行く。
◇◇◇◇◇◇
「ねぇ、ナヒ。魔族のような人間のような反応、まだ屋台市場には
向かってないよね?」
『はい。まだ、結構手前の場所にいますね?このスピードは何故か
徒歩とあまり変わりのない速さのようです!』
走りながらナヒに今現在の情報を問うと、少し不思議な答えを
返してきた。
「徒歩の速さ?それはまた遅い移動をしているね、一体どうしてだろ?」
『恐らくですが、相手が魔族じゃないとしたら、魔族の魔導兵器を操る為に
スピードの値を極端にオミットしたんじゃないでしょうか?』
蒼井の問いに対し、もしかしたらという意見をナヒが述べてくる。
「スピードをオミット?それって魔導兵器の使用するのに、速さの部分を
全て捨てたって事?」
『でしょうね。簡素に言えば、魔導兵器の能力をオミットすればする程、
それだけ魔導兵器を操れる成功率が、グ~ンッとアップしますから!』
「なるほど...。速さを...スピードを捨ててまでその力を使おうだなんて、
魔導兵器とやらはよっぽど、強力なんだ?」
『そりゃ、そうですよ。残念ながら、魔族の作り出す武器やアイテムは
人族如きの作る物とじゃ、とても比べ物になんてならないくらいに強力
ですので!』
はは...。
ひ、人族如きって...やっぱり、人格はメイーナなだけはあるな...。
僕がそんな事へ苦笑をこぼしていると.....
『あ、そうだ...言うのをスッカリ忘れていましたけど、今日使用した
武器や防具はメンテナンス中にて、今は使用できませんから注意をして
下さいね!』
...と、いきなり、ナヒの口からトンでも発言が飛び出した。
「へ!?メ、メンテナンス中...?今日使用した武器や防具を使用する事が
できないの...?」
『はい、そういう事になりますかね。今、使える武器や防具...アイテムは
マジカルボックスの中に入っている物だけになります』
動揺する僕の事を全く気にもせず、ナヒが淡々と状況の説明を述べていく。
「そ、それじゃ、とどのつまり...自動防御は勿論の事、メイーナシリーズも
今現在、使えないって事なんだよね?」
『まぁ...そうなりますね!』
「な、なんだと......!?」
ナヒから告げられたかなり深刻な内容に、僕は喫驚してその身体が
石化する様に固まってしまうのだった。