161話・ナヒの緊急連絡
『あの~主様。お楽しみの所を悪いんですが、ちょっといいですかね?』
アミュー達と談笑していると、急に真面目トーンのナヒが、蒼井に
語りかけてくる。
「ん...なんだい、ナヒ?そんな真面目な口調で...?」
『実は先程、ここから数キロ離れた場所にて、魔族が関係している
何かを探知いたしまして...』
「魔族が関係している何か...?そいつの正体が一体なんなのか、
わからないのかい?」
『う~ん、それがですね...魔族っぽいんですが、気配が魔族じゃないって
いうか?どちらかというと、これは人間に近い...ですね!』
「魔族っぽいのに、人間の気配がするんだ...?」
ナヒがなにやらトンチっぽい説明をしてくるので、僕の頭の中が
少々混乱する。
『これは私の勘ですが...恐らく、魔族の魔導兵器をどこかの馬鹿な人間が
使っている可能性が大ですね!』
蒼井がトンチな説明で混乱をする中、ナヒが思考を働かせて導き出した
答えを口にする。
「人間が...魔族の魔導兵器を?」
『まず間違いないでしょう。ハァ...これは中々面倒な事になりそう
ですね...』
ナヒがこの展開に、渋い口調を洩らす。
「そうだね、こんな町中で魔族の魔導兵器なんか使われたら一大事だ!」
僕は数時間前に戦った、あの魔族達が用いていた、魔導兵器の威力を思い出すと、
それをこの町で使われる事に思わずゾッとする。
「それでナヒ、そいつがいる場所がどこなのか、わかるかい?」
『はい。この反応が示す先は、さっき主様がいらした屋台市場へ向かう
道の前にいますね!』
屋台市場へ向かう道にいる...!?
「まさか、そいつはチンピラ達の残党なんじゃっ!?」
『もしくは、あの変態ジジィーやアンジュさんの言っていたあいつらの
大将の可能性も...。えっと、確か名前はガッコ!』
「ガッコ...ああ、確かにあのじいさんが酔狂していた人物がそんな
名前だったっけ?」
あの変態じいさんが、ガッコとかいう人物を語っている時の恍惚な
表情を思い出すと、イヤな震えが身体に走り、ブルブルと身震いする。
「とくかく、あの変態じいさんが惚れる人物だからな...。きっとロクな
奴じゃないのは確定だしな...」
『ですね...。アンジュさんの態度を見ても、それが垣間見れますしね..』
ナヒがあの場にいた連中の態度を思い出し、蒼井の言葉に同意する。
『しかし...あの変態ジジィーの酔狂する人物ですか...全くもって、会いたく
ありませんね...!』
「はは...」
もしナヒに表情があるのなら、今露骨に嫌な顔をしてるんだろうな...。
明らかに不愉快なトーンで喋るナヒの口調を聞いて、僕はニガ笑いが
口からこぼれる。